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Good Professor

磯村 早苗

磯村 早苗 教授
國學院大學
法学部 法律学科

磯村早苗(いそむら さなえ)
国際基督教大学教養学部社会科学科卒。
東京大学大学院法学政治学研究科・政治専門課程(修士課程・博士課程)修了。日本政治学会や日本国際政治学会など多くの学会で活躍。
主な著書に、『グローバル・デモクラシーの政治世界』(共著)【有信堂 1997年】などがある。

ポスト冷戦後の国際政治学の可能性

國學院大学の西門。道を隔てた向かい側にはJR渋谷駅からのバス停もあり多くの学生がこの門を通って毎日通う。
國學院大学の西門。道を隔てた向かい側にはJR渋谷駅からのバス停もあり多くの学生がこの門を通って毎日通う。

かつては国家間の政治が中心だった国際政治学だが、近年そのありかたが大きく変わってきている。

「政府機関や国家だけという国際政治のイメージから、世界政治という領域への比重が高まっています。国家だけではない政治アプローチがなされるようになったのです」 こう語るのは國學院大学で国際政治学を教える磯村早苗先生。

そうした例としては、各種の国際機関や、国際社会に独自の影響力を与えはじめたNGO、そして多国籍企業など、企業から市民活動まで多岐にわたる。 たとえば地雷全廃条約では、NGOが主導してカナダ政府を中心に巻き込む形でこれを成立させた。国家間で会談を重ねてもなしえなかった軍縮問題に、まったく別のプロセスを取り込んだのだ。

国家でコントロールできない領域がだんだんと大きくなってきている一方で、他の主体が国際政治の範疇で果たせる役割も広がりつつある。  そして、ヨーロッパでは国家の枠組みを超えたEUという地域共同体が出現した。

「EU成立には、国家を超えるという努力もさることながら、幸せな条件というものがありました。デモクラシー・政治的自由・経済的自由という生活の重要な価値観を各国がほぼ共有していた世界でも特有な条件です」  

しかしそのEUでも北欧、そして東欧と拡大していこうというときに一つの問題を抱える。

東欧で頻発する紛争にどう対応するか。人道的介入とは何か。国際政治でも大きな懸案となる安全保障の問題だ。  安全保障は、19世紀のころは外敵から国民を守るという軍事的要素が強かった。だが21世紀を迎えた現在は質的に大きく変化しており、冷戦が終わって、かえって各地で内戦が起きるという皮肉なケースが圧倒的に増えてきた。まさに東欧やアフリカのような状況である。

「安全とは、国にせよ、社会にせよ、なかで生活している人が自分を生かした生活ができるかどうかということが問題となります。アフリカなどの第三世界では武力による抑圧問題があり、ヨーロッパなどでは治安やテロの問題があります。国際政治学では、政治・経済・軍事・文化・アイデンティティーと諸問題について、これまで以上に複合的に考えていかなくてはならないのです」

日本の事象も世界の一部

大学のシンボルでもある石川岩吉名誉学長像が写真の真ん中に写っている。少し小さいけれど見えるかな!?
大学のシンボルでもある石川岩吉名誉学長像が写真の真ん中に写っている。少し小さいけれど見えるかな!?

小泉内閣が誕生して、ずいぶんとニッポンの政治の話題も活発になってきた。 自民党の首相が提唱する「構造改革」。いったい日本に何が起きようとしているのだろうか。

「われわれが国内政治と思っていることが、じつは世界政治の一部になっているのです」 いま唱えられている「構造改革」とは、国内レベルだけで捉えられる事柄ではないのだという。

「その評価は別として、世界はグローバリゼーションへと変化しました。規制緩和や自由化という世界的流れに、日本の産業構造が対応できない。外が変化したときに内も変化することが必要となったのです。 構造改革の流れは、そうした世界的な大きな動きのなかの一つの現象ともいえます」  

これまでの日本の産業構造は、官僚主導で規制を中心としたものだった。そこにはいわゆる「既得権」というものが発生し、産業構造が固定化する。高度経済成長期そしてバブル期までは、そうしたシステムは一応成功していた。  
しかし、世界がグローバリゼーション・大競争時代に突入すると、固定化したそのシステムは新しい流れに適応できないものになってきている。評価はともかく、小泉内閣が提唱する「例外なき構造改革」や「既得権の撤廃」とは、そうした背景から生まれてきている。

「しかし、グローバリゼーションとは端的にいえば「強いものが勝つ」という社会です。弱い者を守るには政策としてセーフティネットを張っておく必要があるはずなのです。そのとき、改めて国家の重要性が問われてくるのです。国際政治学では、こうしたバランス感覚が重要なのです」  

もはや時代の流れは、国内政治の動きだけでは到底理解できないところまできている。日本で起きていることも、アジアそして世界の一部として考えなければならない。そしてグローバリゼーションとは経済面だけでなく、国家を超えた政治システムとも関係することを知ってもらいたいという。

「国際政治学の面白さは、勉強することによって自分の位置を確定できることにあるんです」  

自分(君たち)がどんな社会に生きていて、世の中では何が起きているのか? 国際政治学を学ばずして、自分を知ることが不可能な時代が21世紀なのかもしれない。

こんな生徒に来てほしい

「国際動向や世界経済への関心、そして知りたいという強い意欲を持っている人にぜひ来てほしいですね。 関心をもつだけではなく、そこに自分なりの問題意識をもつ。
知識だけではなく、怒るとか、シンパシーを感じるといったことが自分なりの研究の出発点になるのです。
また、NGOや国際機関などに関心がある人も向いていると思います。
国際政治学では情報がないとまったく動くことができません。そのためにも語学はしっかりとやっておく必要があります」

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