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Good Professor

大野 弘幸

大野 弘幸 教授
東京農工大学
工学部 生命工学科

大野 弘幸(おおの・ひろゆき)
1953年千葉県生まれ。早稲田大学理工学部応用化学科卒業後、81年、同大学大学院理工学研究科応用化学専攻博士課程修了。83年、米国ケースウエスタンリザーブ大学博士研究員。85年、早稲田大学助手。88年、東京農工大学助教授を経て、97年より現在に至る。著書に『ぼくもノーベル賞をとるぞ!!』など、発表論文多数。

ポリマー研究は可能性の宝庫

中央線の東小金井駅から徒歩8分。ひっそりと落ち着いた住宅街の中を歩いていくと、小金井キャンパスの正門に着く。正門から美しい並木道がまっすぐ伸び、24ほどの建物が並んでいる。緑の多いキャンパスでは、ケヤキやイチョウ・クスノキなどが生い茂り、野鳥たちも多く住む。
中央線の東小金井駅から徒歩8分。ひっそりと落ち着いた住宅街の中を歩いていくと、小金井キャンパスの正門に着く。正門から美しい並木道がまっすぐ伸び、24ほどの建物が並んでいる。緑の多いキャンパスでは、ケヤキやイチョウ・クスノキなどが生い茂り、野鳥たちも多く住む。
正門から正面の道を進むと右手に見えるのが図書館。屋根にあるガラス張りの窓が印象的。小金井分館と呼ばれ府中キャンパスには本館がある。学生たちは、授業や実験のための資料を集めるため、積極的に図書館を利用している。
正門から正面の道を進むと右手に見えるのが図書館。屋根にあるガラス張りの窓が印象的。小金井分館と呼ばれ府中キャンパスには本館がある。学生たちは、授業や実験のための資料を集めるため、積極的に図書館を利用している。

大野教授が、IDカードのようなものを小さな扇風機につないだ。扇風機は私の目の前でクルクルと回り出す。動力は、この薄っぺらいカード。プラスチックに塩を溶かし、フィルムで包んだ電池である。金属で包まれた重い電池を使わなくなる日も近いのかもしれない。この技術の基礎となっているのが、ポリエチレンオキシド(PEO)という水のような性質を持つプラスチック。このような性質を持たせるポイントは、プラスチックの分子構造を水と似た形にすることである。すると、物質はPEO中でもまるで水の中にいるように勘違いし、溶けてしまう。そこで、塩を溶かすことでイオンが移動できるようになり、カードのような電池が可能となるのだ。

もちろん塩だけでなく、他の物質、たとえばたんぱく質を溶かして新しい性質を生み出すこともできる。研究室の実験では普通60度くらいで壊れるたんぱく質が、130度になっても30分間壊れなかった。この記録は、なんと世界一だそうだ。水の中でしかたんぱく質が機能しないという考えは、もう時代遅れなのだ。

次に先生は、透明なプラスチック板のようなものが入ったケースを取り出した。「これはDNAでできています」――えっ!? DNAの水分をなくし、加工して土に変えるプラスチックとのこと。セルロースから紙をつくる感覚で、DNAからプラスチックができてしまうのだ。将来は、ポイ捨てしても環境にやさしいペットボトルも夢ではない。目の前で次々と私の常識はひっくり返されていった。しかもこれらは、大野先生の研究成果のほんの一部。将来の可能性は無限大なのだ。たんぱく質で電池を作ろう、DNAでプラスチックを作ろう――なんて誰が思いつくだろうか。「米国の学会で学生が私の研究の発表をしたら、発想がクレイジーだと言われました」と笑う。先生はそんな一見「非常識」な学者である。 一方、プラスチックに代表される高分子は、今とてもホットな研究テーマだ。

白川英樹教授が、電気を通すプラスチックの発見・開発を評価されてノーベル化学賞を授与されたのは記憶に新しい。このように、高分子に関連する受賞は各分野で増加。昔はあたり前だった材料が、いまは最先端の分野となっている。世の中で「変人首相」がウケているように、「非常識人」も科学の世界では注目を浴びているのだ。

個性的で社会に役立つ研究テーマを追求

校内にはちょっとしたスペースを持つ広場がいくつかある。これはその一つ。木々の中に時計台がヒョッコリ立っていてベンチが置かれている。学生たちのちょっとした憩いの場である。
校内にはちょっとしたスペースを持つ広場がいくつかある。これはその一つ。木々の中に時計台がヒョッコリ立っていてベンチが置かれている。学生たちのちょっとした憩いの場である。

他の人と同じことをやっていては社会に出てからも評価されない。そして、社会に貢献できない研究ならば、単なる趣味で終わってしまう。そんな考えから、先生は常に役立つ実用的なテーマを求め、とことんオリジナリティーを追求している。

研究室では、学生のやりたいという気持ちを抑えず、生かせるような環境をつくっている。研究テーマは決められているが、その中で学生たちは個性を最大限発揮する。

教育現場においてもその姿勢を貫き、学生たちをきちんと指導。講義では毎週レポートを提出させる。オリジナリティーが重視されるため、中にはマンガや脚本形式でまとめてくる学生もいる。レポートは10枚から20枚ぐらいずつ200人分ぐらいの量になるが、先生はすべて目を通し添削する。最初はいやいやレポートを提出していた学生も、先生の熱心さに打たれ、次第に変化が生まれてくる。もっと深く勉強しようという意欲や、人とは違うものを探そうという意気込みがレポートに表れてくるのだ。

化学式を暗記するのではなく、現象を理解することから答えを導き出せる学生になってほしい。それが先生の願いである。このように教育に情熱を傾ける大野先生は、農工大第1回ベスト・ティーチャー賞を受賞した。 農工大の良さは、学生と教員の相乗効果で生まれる。。

先生は、農工大の学生は素直で元気だという。丸暗記だけではなく、その他にいろいろな経験を積んできている人も多い。「他の大学で講義しているとわかりますが、冗談を言ってもシーンとしている大学もあります。でも農工大は違いますね。ノリがいい。反応があるということは、それだけ教育する側もやる気が出ますよ」 入学時の偏差値は都内の国公立大としてはそんなに高くはないが、そこから卒業までの学生の成長幅は大きい

先生が農工大を『お買い得大学』というゆえんである。これからは、大学名というブランドではなく、大学で学んできた中身が問われる時代になる。それならば、教育に実績がある大学に入ったほうがいい。「自分を磨きたいと考えている人にはここはピッタリ。入って後悔しない大学です」。先生はそう太鼓判を押された。

受験は単なるオーディション。むしろ入学してからが人生の本番だ。受験で燃え尽きてしまうのではなく、大学には自分を鍛えてくれるシステムがあるのだと期待してほしい。そして、そんな期待に十分応えてくれるのが、農工大なのである。

こんな生徒に来てほしい

スポーツでも芸術でもいいので、一つのことに最大限の力を出しきった経験のある人です。そういう経験があると、やる気になったときに最後まであきらめずにやりとげるパワーがあるからです。私の研究室なら、誰もやったことがない研究を達成できる環境があると自負しています。「不思議だなぁ」と思う気持ち。それを農工大でとことん追求して、将来は君もノーベル賞をとってみませんか?

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