- 小坂 恕 教授
- 中央大学
小坂 恕 教授(こさか・ひろし)
東京大学法学部卒業後、株式会社東芝に入社。ロンドン大学ロンドン・スクール・オブ・エコノミックス大学院留学(2年間)。東京都立大学理学部数学科(定時制)卒。東芝アメリカ社設立し、国際本部部長・欧州地域本部ジェネラル・マネージャーなどを歴任。慶応義塾大学商学博士授与。東芝退社後、パリのグランド・エコールESSEC経営大学院訪問教授。現在、中央大学専門職大学院国際会計研究科および大学院教授、慶応義塾大学大学院講師。専門はマーケティング。中央大学アカウンティングスクール・MBAプログラムのWEBサイト http://www.cgsa.jp/
「難しい」を面白くする「マンガ」の授業

- 新設される周王大学アカウンティング・スクール(大学院)のロゴも「広告」を熱知する小坂先生が作った。伝統的な中央大学と未来に向かう中央大学という二つのイメージをあらわしている。
当然のことながら、学問に対する印象は、教える人物によって面白いものにも、つまらないものにもなる。 中央大学専門職大学院国際会計研究科・小坂恕先生の「マーケティング論」には、マーケティングのことを知らなくても、興味がなくても引き込まれてしまう魔力がある。
というのも、先生には、つい2年前まで一般企業の第一線で世界を相手に磨きをかけてきたプレゼンテーション力があるからだ。自分の教える学問がどんなもので、どれほど面白いものなのか、生徒へいかにプレゼンするか を考えている大学の先生は、それほど多くないのかもしれない。
その点、"学者先生"でない小坂先生は、こう話してくれた。「マーケティングを本気でやろうと思ったら、本当は数式でガチガチなのです。でもそれをそのまま教えてしまったら、学生はついて来られないし、きっとマーケティングに対する興味も削がれてしまうでしょう。学生の学問に対する好奇心を奪っては何にもなりません。ですから、いつも心がけているのは、おいしくない芯の部分を、ケーキの上のクリームみたいにおいしそうに、コーティング してあげることです」
「私の授業は全部"マンガ"で教えます」。もちろんコミックではないが、よりわかりやすく理論を説明するために、グラフや図を多用するのだそうだ。先生いわく「ちょっと高級なマンガ」だとか。「理論の意味するイメージをつかむことが大切なのです」
身の回りにすべてがマーケティングの賜物

- 高台にある中大八王子キャンパスからは豊富な緑とすがすがしい景色が望める
マーケティングってどんな学問なのだろう?と思ったら、ちょっと自分の周りを見渡してみよう。いま覗いているパソコンしかり、音楽をかけているオーディオしかり、住んでいるあなたの家しかり。目に付く"もの"すべてが マーケティングという学問から生み出されていると言って過言ではない。
「マーケティングとは、会社の経営部門の一部なのですが、大きく分けて二つの要素があります。一つは消費者が何をほしがっているのかということを探し出す作業です。消費者自身も気づかない潜在欲求を読み取り、『そう いえばこんなものがほしかった!』と言ってもらうのです。マーケティングを基に製品を開発し、販売する。売れ行 きがよければ、そのマーケティングは正しかったという結論になります。
逆に売れなければ、その製品はよくないのかと結論づけるのは尚早で、せっかくよい製品を作っても、それを知って貰わなければ売れない、または他社から同じような製品が販売されていて、差別化されていなければ売れないということもありますね。そこで二つ目、広告という手段が登場するのですが、誰に向けて、どんな方法で行うのが最も効果的なのか、ということを知るためにも、マーケティングが用いられます。
もちろん一般的に企業では、製品の開発・販売と、広告の成果をよりあげるために同時進行で行われますが、 どちらもマーケティングが重要なベースになっているのです。また、消費者の求めるものは常に変化していきます。その変化を分析・予測することもマーケティングの仕事に含まれますが、それには社会学・心理学・経済学などいろいろな分野の要素が必要ですから、 マーケティングは総合的な学問といえます。まあ、実際に自分のマーケティングを基につくられた製品が売れたときの感激は、たとえようもありません。非常にやりがいのある実際的な学問だと思いますね」
マーケティングは、モノを作るというような目にみえるものだけでなく、サービスを提供するなど目に見えないモノ 、有形無形に関わらず利用されている。利益を追求する企業に限らず、公官庁でも国民・市民がどのような行政を求めているかなどをリサーチすることにも必要だ。
卒論テーマを就職希望会社にしてみては?

- 主に商学部の授業が行われる5号館
だからこそ、マーケティングを生かして将来活躍したいと思ったら、そのフィールドは無限大。「世界中どこの国 でも、どんな企業・公的機関でも、消費者のいる限り活躍の場があります」と強調された。高校生にはまだピンと こない話かもしれないが、未曾有の大失業時代となったいま、新卒の就職率も低下し、多くの学生にとって希望 する会社に入ることはとても難しい。そこで小坂先生のゼミでは、卒業論文の課題を自由にし、学生に自分の入 りたい企業を研究することを勧めている。
「いくらハードルの高い企業でも、この学生は自分の会社を一年間かけて熱心に研究してくれているとわかれば 、書類だけで門前払いはしないでしょう。少なくとも面接までは通してくれるはずです」
大学という教育の場だけでなく、会社という社会の両方を経験しているからこそ、学生にアドバイスできることも あるのだろう。塾生の皆さんもいつか思い知るだろう。社会人となってから自分のための時間をつくるのは至難の技だ。小坂先生は、東芝にバリバリ勤めながら、都立大学数学科を卒業し、ロンドン大学にも留学して慶應義 塾大学経済学部に論文を提出して商学博士号まで取得された。
こんなものすごい努力家にして、世界100ヵ国に行ったことがあるという見聞の広さをもつ先生なんてめったに いない。学問だけではなく、きっと人生の恩師になってもらえること請け合い。インタビューしていても、小坂先生 の話につい引き込まれるのは、プレゼンテーション力だけでなく、先生の人間的魅力に負うところも大きいことがわかる。
こんな生徒に来てほしい
志は高く、日本の未来を背負って立ちたい――という学生に来てもらいたいですね。きっと、背負って立つお手伝いはしますから!将来、組織に入れば多くの人と絡み合いながら仕事をしていくことになりますから、人と一 緒に何かをするのが好きな人に向いていると思いますね。友だちの多い人は有望ですよ。










