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濟藤 友明

濟藤 友明 教授
東京理科大学
経営学部

濟藤 友明(さいとう・ともあき)
1948年東京生まれ。
81年一橋大学大学院商学研究科博士課程修了。同年工学院大学経営学 部講師。84年同大助教授。93年より現職。 主な著作は 「解説 商品ファンド」(東洋経済新報社)、「戦後経営史2」(共著・東洋経済新報社)、「Japanese Business Success」(共著・英国で刊行)など多数。

21世紀に求められるのは文理両刀の経営者

理系経営学のメッカである東京理科大学9号館
理系経営学のメッカである東京理科大学9号館

東京理科大学は1881年に建学された、日本最古の理工系私大である。その120年以上の伝統校に経営学部が開設されたのは、いまから9年前。理工系大学で経営学部があるのは、全国でも唯一東京理科大だけだそうだ。

なぜ経営学部なのか。同学部の立ち上げから関わってきたという濟藤友明教授に、そのあたりから伺った。

「企業の経営というのは、マネジメントと技術からなっています。その意味では、文系と理系の双方を学ぶのが望ましいのですね。その文理を融合させてつくったのが、この経営学部になります。教員の人材も幅広く集められていまして、経営・経済はもちろん、理学・工学、それに医学部出身の人までそろっています。手前味噌になりますが、先見の明があった学部だという自負はありますね」

非常に広汎なことが学べる魅力的な学部のようだ。ここでの一番の特徴は、元来が理工系大学だけに、情報と数量的手法の教育の充実だと濟藤先生は語る。

「情報は理論と技術(操作)を学びます。経営学部ですから数学的な解き方を教えるのではなくて、数量的な見方が、何にどう役立つのかという教え方をしています。数学の授業もありますが、学生の理解度に応じてクラス分けをするようにしています」

つまり、数学が苦手で、本来なら文系の学部に進むべき学生でも、十分に学べるような配慮がなされているというのである。

いま長引く不況を反映して、どこの大学も卒業生の就職状況は厳しい。だが、同学部の学生は、NTT・日立製作所をはじめとして、情報関連の企業から引く手あまたの状態。半数近くの学生が希望した企業に入社し、残りもほとんどが就職して、就職率はほぼ100%だという。

現場を歩き回れるのは若手研究者・学生の特権

濟藤ゼミの学生たちの卒業旅行に同行した草津温泉での一コマ
濟藤ゼミの学生たちの卒業旅行に同行した草津温泉での一コマ

さて、濟藤先生ご自身の研究について、伺ってみよう。

いま先生が研究しているのは、環境問題やNPO(非営利組織)、それにベンチャーなのだそうだ。ベンチャーはともかく、経営学部にあって環境問題・NPOというのは、一風変わっているように思えるが……。

「ふつう環境問題といいますと、理工学のレベルで汚染などの問題解決をしていくものと思われがちです。しかし、マネジメントの視点からも捉えていく必要があります。環境汚染の防止に対して、企業には社会的コストを負担しなければならない義務があります。そのコストをいかに低減化して、しかも効率のいい防止策を講ずるか。そうしたマネジメント面からの認識ですね」

NPOについても非営利だからといって、マネジメントが不要というわけにはいかない。そこには自ずと歳入や歳出が生じる。いまやNPOが社会に不可欠な存在であるからには、そこにも経営という視点が必要であると説く。

濟藤先生の学部での講義は 「企業論」と「経営学原理」、ゼミのテーマは「環境問題とNPO・ベンチャー」の3つ。学生への指導方針について、次のように語る。

「ぼくが学生に言っているのは、"現場を知れ!"ということですね。いくら本を読んでもダメ。現場を知って、本から得た知識との距離感を縮めなさい、というのが指導方針です。ですから、企業が環境問題をどう処理しているのかを直接見学させたり、NPO活動をしている人に会いに行かせたりもしています。そういうことができるのも、学生の特権ですからね」

こうした指導も、自らが若いころから現場主義を標榜して、研究成果を得てきたことに起因する。先ごろ文部科学省が主催したNPOの大会があり、先生のゼミの学生たちも参加したそうだ。ところが、学生で参加したのは彼らだけで、主催者を驚かせたエピソードもある。

先生が企業経営の研究を始めたのは、経済学部の学生だったころである。

「ぼくが学生だったころの経済学といえば、市場理論や国家レベルの経済を研究することでした。しかし、経済の中心にあって動かしているのは私企業なのですね。経済学はそれを捨象していました。そんな中で、ぼくは企業理論というのは何だろうと考えたのです。それで経営学の研究を始めたわけですが、当時は "そんなのは金儲けの研究で、学問ではない" という周りの雰囲気がありました」

一風変わった研究への萌芽は、すでに学生のころからあったようだ。それから30年。いまや経営学は主要な研究分野として確立されている。これも先見の明であろうか。

ITベンチャー企業を自ら立ち上げる

都心の好立地にある神楽坂キャンパスに通う学生たち。塾生のみんなも来年は……
都心の好立地にある神楽坂キャンパスに通う学生たち。塾生のみんなも来年は……

この取材のとき、濟藤先生は非常に理路整然と話され、受け応えもていねいで、人柄の穏やかさが伝わってきた。だが、この穏やかな先生も、学生に対するときはかなり厳しくて怖い先生に変じるらしい。

「ぼくの試験は厳しいですよ。いいかげんな答案だったり、ただ適当に文字だけで埋めてごまかそうというものには単位をあげません。だから、3分の2の学生に単位を出さなかったこともあります。ぼくの試験は普段の授業をちゃんと聞いていないと答えられないように設問してあります。普段からいいかげんな態度の学生はダメですね」

厳しさは半端ではなさそうだ。ただ、2年次から始まるゼミにやってくる学生には、その穏やかな性格がバレてしまうと言って苦笑された。

ところで、先に先生の研究テーマには、ベンチャーがあると書いておきながら、わざと触れないでおいた。実は先生の名刺には 「TUSネット株式会社代表取締役」 という肩書も刷り込まれている。つまり、学内で興したベンチャー企業の社長さんでもあるのだ。このベンチャーは、IT関連の技術をベースにした企業間電子取引のウェブサイトで、2002年3月に設立されたばかり。研究を兼ねた教授社長のお手並みやいかにだが、すでに業務は順調に滑り出し、初年度から黒字が見込まれているという。現場を知る実践派教授の面目を、早くも施しているようだ。

こんな生徒に来てほしい

好奇心が本を読むことや勉強をすることが好きでなくてもいい。 「何かやってやろう」「何か自分のものを掴みたい」 という意欲、あるいは 「こういうことがしたい」 というはっきりした目的意識をもっている人ですね。それがなくて大学まで来ても仕方がないですから。

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