- 石田 光義 教授
- 早稲田大学
政治経済学部・大学院 公共経営研究科 石田 光義(いしだ・みつよし)教授
1943年三重県生まれ。69年早稲田大学政治経済学部政治学科卒。74年同大学大学院政治学研究科博士課程単位取得退学。早稲田大学講師、研究所特別研究員等をへて、90年同大学政治経済学部助教授。95年より同教授。
主な著作に『憲法要論』(敬文堂)、『政治のしくみ』(ナツメ社)などがある。
研究所所長にして産学協同企業取締役でもある

- 早稲田大学の政治経済学部校舎
今回のグッド・プロフェッサーは、早稲田大学政治経済学部教授の石田光義先生。先生の専門は「比較政治制度」と「憲法」。その専門内容から語ってもらった。
「比較政治制度というのは、さまざまな国の政治制度の特徴や発展の過程を研究し、各国間の政治制度を比較分析する学問分野です。私が研究しているのは、 19世紀ドイツ。とくに近代化途上にあったドイツの議会の地位確立の過程を研究しています。明治維新後の日本は近代化に向けて、ドイツ(プロイセン)の政治制度を取り入れていましたので、日本の近代化のプロセスを解明するためには不可欠な研究になります」
石田先生のもうひとつの専門は憲法。折しも、自衛隊イラク派遣の是非などに関連して改憲・護憲論争が盛んである。こうした憲法論議については次のように語ってくれた。
「憲法にしても法律にしても、常に生きて動いているものです。日本国憲法は制定から50年以上が経過し、世界でも古い部類に入り、しかも一度も改正されたことがないめずらしい憲法です。一度制定してしまえば、未来永劫に有効期限が続く憲法というのは理想ではあります。しかし、現実には時代や社会の変化に即していない個所もあり、有効か否かの検証が必要と思います」
「いまの憲法をめぐる議論といいますと、第9条の平和主義からしか展開されていません。憲法問題というと第9条についての論議に終始してしまって、ほかの条文については顧みられないという状態です。制定から50年以上へて、憲法の各条文について今も有効であるかどうかの検討が必要なのですが、そういう議論になっていないのが残念ですね」
昨今の憲法論議には、石田先生はそう疑義を呈する。そして、現下の日本国憲法を全肯定や全否定するのではなく、憲法の部分的改正への道を検討するべきだというのが意見だ。さらにこの問題には、高校生諸君にも大いに関心の目を向けてほしいとも。
世界中の政治制度情報をゼミ全体で共有

- 政経学部に隣接する早稲田演劇博物館
早稲田大学政治経済学部のゼミは3・4年次の学生が対象で、石田ゼミでは例年20人の定員いっぱいのゼミ生を受け入れている。石田先生の専門である比較政治制度の研究が中心になる。
「ゼミ生ひとりずつに担当する国を決めて、その国の憲法を中心にした政治制度をはじめ、歴史や社会・文化について資料収集と分析をしてもらい、ゼミで発表するスタイルで進めています。みんな非常に熱心で、担当している国まで出向いて資料収集するゼミ生もいるほどです。それに最近はアジア・アフリカ諸国へ関心を寄せるゼミ生が増えていまして、幅広い国に関心を寄せてくれるのはいいことだと思っています」
ゼミ生には、担当する国についてどのような質問にも答えられるだけの情報収集が求められる。それぞれが担当国に精通することで、ゼミ全体で幅広い諸国の政治制度情報を共有することになると石田先生はいう。
この比較政治制度の研究そのものとは別に、石田ゼミを特徴づけていているものに、徹底したディスカッションとディベートがある。ディベートというのは、設定したテーマについてゼミ生が肯定派と否定派に分かれて討論し、その優劣を競うものだ。
「ディスカッションとディベートは、ゼミ生をグループ分けして月1回のペースで行なっています。ディスカッションのテーマはゼミ生から提案してもらい、ディベートのほうは政治制度にかかわるテーマから選んでいます。最近では、自衛隊のイラク派遣や脳死・人権などの問題を取り上げました」このディスカッションとディベートはともにゼミ生を熱く燃えさせ、白熱した議論の展開になるようだ。
「ここで習得する技法、とくにディベートにおける臨機応変に議論を展開させていく技法は、将来社会人になったときに必ず役立つはずです」 と、石田先生は話す。
なお、石田ゼミではスポーツやボランティア活動への参加も奨励している。何事にも全力でぶつかっていく学生を育てたいという先生の指導方針からだ。
政経学部に国際政治経済学科がスタート
03年4月から、早稲田大学政治経済学部では専門職大学院「公共経営研究科」をスタートさせた。また04年4月からは、これまでの政治学科・経済学科に加えて「国際政治経済学科」を開講する。
専門職大学院とは高度なプロフェッショナル(専門職業人)の育成を目的にした大学院だ。また国際政治経済学科は、国際化・情報化の時代における国際社会の諸問題を発見し、解決への道を考察研究していく学科である。
これに加えて、石田先生には早稲田大学社会システム工学研究所所長という肩書もあり、こちらでは3つの産学協同企業を経営している。つまり、「会社取締役」でもあるのだ。
「いま日本社会は大きく変わりつつあり、大学もどんどん変わっています。いま、大学あるいは研究者はどう社会に貢献できるのかが問われています。私の場合は、産・学・官を連携しつつ、自立と確立をめざした企業活動ということになります」
その石田先生が経営する企業の業務内容は、
①低温スチーム加工技術による食材の開発と販売
②ベンチャー企業育成
③リサーチeランニング――の3つ。地方自治体などとの提携もあって、いずれも業績は順調だという。
大学教授として、また企業経営者として、旺盛な意欲でエネルギッシュに活躍する石田先生だが、最後にこう語ってくれた。
「いまの時代はとかく閉塞感ばかりが説かれがちです。そのなかに閉じこもってしまうと、社会の変化が見えなくなってしまいます。いまの時代でも変わるべきところは変わってきています。若い高校生諸君には、そうした時代の先端を見る感覚を養っておいてほしいですね。こんな時代だからこそ、逆にチャンスだと思えるくらいの気概をもって、自分の将来をどんどん切り開いていってほしいと思います」
こんな生徒に来てほしい
いま世界は大きく変わってきています。もはや大学のブランドやレッテルは通用しなくなってきました。その人個人で何ができるのかがこれからは問われます。大学もそうした人材の育成を教育の柱にするようになりました。ただ何となく大学へ進学するのではなく、将来自分が活躍する場を見据えて、大学で何を修得するのか見極める努力が重要になってきます。


投稿されたご意見・ご感想(1件)
濱田 麻衣可 さんのコメント
こんにちは。読んでいていろいろと思うことがあったのでコメントしました。
憲法についてですが、憲法に関する議論が第9条からしか展開されていない現実に私も残念に思っています。それだけでなく、第9条にしても議論されているにも関わらず、日本は原爆をうけた国として平和をどこの国よりも切望しているはずであるのに、アメリカよりの姿勢でいる現実に非常に!!残念に思っています。
恥ずかしながら、私も憲法の内容を正確にちゃんと知っいるわけではありません。
もちろん、社会科で基本的なことは学びました。
深いところまでは知りませんが、私が思うに憲法の条文すべては、おそらく基本的な原則の上になりたっているのでしょうから、今こそ私たちはその「基本的なこと」を改めて学びなおすところにきているような気がしてなりません。
私は中1の終わりから中学卒業までの約2年間ロシアに住んでいました。ソ連崩壊から約10年くらいのころです。
民主主義という考え方がはいってきてロシアはめざましい発展をとげました。毎日が変化、変化、変化の日々。
ガラス張りの建物がたつ、外資系の企業の増加、外車の増加・・・
豊富な資源による事業で成功した大富豪の発生、(たとえば今は逮捕されてしまったホドルコフスキーなど)・・・
一見すばらしいことのように思います。しかし、このような輝かしい実態がある反面、一方では、この新しい波(アメリカ流)にうまく乗れない人々も大勢いるわけです。
現に私の友人のロシア人もソ連時代のほうが住みやすかったという人もいました。
そして、そんな考えをもつ者の一部は、過激的な思想をもつというのでしょうか、言葉による反論から徐々に暴力による「反乱」をおこすようになっている現実があります。
この状況をみていてわたしが思ったのは
「歴史は繰り返す」ということでした。
ロシアがまた社会主義思想になるのかは誰にもわかりませんが、いつでも、常に「歴史をくりかえす」状況にあると思います。
日本にしたって大きな問題になっている某総理大臣による靖国参拝、イラク派遣・・そして話を聞いているかぎり私は!悩まされてしまう新議員の方々・・政府だけを非難するわけではありませんが、国の代表である政府のメンバーは今こそしっかりと「憲法」を見直す、いえ、勉強して第9条はもちろんのこと他の条文に関してもしっかりと!議論してくべきではないかと思います。
憲法が制定されるまでにどういう流れがあったのか、「歴史」が全てではないでしょうが、「歴史はくりかえすのだ」と再認識した私にとっては「歴史」を絶対にあなどってはいけない気がしてならないのです。
古いことをしってこれからの方針を、なるべく大きなミスを、選択をしないように決めていく、これまでの方針を見直す。
それが今の日本にはかけているように思います。
私も今歴史を習っていますが、「古いことを学ぶ意義」、これを常に念頭に置いて学ぼうと思っています。
以上です。ありがとうございました。
投稿者: 濱田 麻衣可 | 2005年12月29日 09:47