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Good Professor

相川 充

相川 充 教授
東京学芸大学
教育学部

相川 充(あいかわ・あつし)教授 1955年群馬県生まれ。78年茨城大学文学部卒。83年広島大学大学院教育学研究科博士課程単位取得退学。88年宮崎大学教育学部助教授。89年英バーミンガム大学名誉研究員。93年東京学芸大学助教授。03年東京大学大学院人文社会系研究科研修(文部科学省内地研究員)。04年より現職。

主な著作は『人づきあいの極意』(河出書房新社)、『反常識の対人心理学』(NHK出版・韓国語訳あり)、『人づきあいの技術―社会的スキルの心理学』(サイエンス社・島田賞受賞)など。

人づきあいは「ソーシャルスキル」で楽になる

相川研究室のある人文社会科学系研究棟1号館
相川研究室のある人文社会科学系研究棟1号館

東京学芸大学は教育学部のみの単科大のため、教員養成のみが目的となる大学と思われがちだ。しかし同大学教育学部には、教員養成を目的にする「教育系」のほか、教育に付随する一般教養が履修できる「教養系」課程も設けられている。

この教養系には、
生涯学習 人間福祉 国際理解  教育環境教育  情報教育  芸術文化 の6課程がある。

今回紹介する相川充教授は、この教養系課程で教える心理学の先生である。専門は対人心理学であり、「ソーシャルスキル」について研究している。まず、そのソーシャルスキルとはいかなるものなのか?まずそこから説明してもらおう。

「人と人とが上手につき合っていくためには技術が必要です。自分の思っていることを相手に伝え、相手の思っていることを理解する。そのためには言葉はもちろん、しぐさや身ぶり・てぶり・視線の動きなども使って伝え合い理解し合おうとしますが、こうした技術を『ソーシャルスキル』といいます。単なる技術ですから、学習すれば誰でも習得できるようになります」

このスキルが未成熟だと、ひきこもりや不登校・いじめ・暴力行為などの問題行動につながるケースが多いという。

「いじめ等に遭っている子がいて、それを周りで助けようとしても、スキルが未熟なためにそのサポートを受け取れない場合もあります。『子どもたちにソーシャルスキルを身につけさせる』ことをテーマとして、学校の先生への指導に私は力を入れています。教職に就こうという人にはぜひ身につけてほしいスキルのひとつです」

もっと「ソーシャルスキル」を身につけよう

初冬のある日の東京学芸大学正門
初冬のある日の東京学芸大学正門

そこで相川先生は他大学の大学院でも教え、講演会で訴え、多数の著作を著し、放映中のNHK幼児向け教育番組の監修を務めるなど、ソーシャルスキル普及のために自らその先頭に立ってきた。その甲斐あって、ソーシャルスキルへの関心は次第に高まっている。

さて対人心理学が専門の相川先生だが、教育学部では国際理解教育課程の国際教育専攻を担当している(大学院では学校心理学)。ここでは、学校等での国際理解教育のあり方や異文化間で生じる諸問題についての実践研究、さらにカリキュラム開発も研究される。

「国際教育といいましても、それだけの専門家がいるわけではありません。いろいろな分野の専門家である教員たちが集まって、それぞれの立場から国際教育について研究・指導しています。私ですと、対人心理学の立場から国際研究専攻に参加しているわけです」

そのなか相川先生はソーシャルスキルの観点から、アジア各国からの留学生が早く日本文化になじむために必要なスキルについて教育している。相川先生は非常に紳士的なお人柄とお見受けするが、その話し方も緻密で論理的である。それらこそが心理学研究者に必要な素質・素養なのかもしれない。

「英国式チュートリアル」による濃密な個別指導都

紅葉に色づく東門からのキャンパス並木しい
紅葉に色づく東門からのキャンパス並木しい

教養系国際教育専攻のゼミ演習は3年次から始まる。2004年度の相川研究室のゼミ生は3年次の学生だけで10人もいて、国立系大学のゼミとしては数が多い。これは国際教育専攻のほか、相川先生が授業を担当しているカウンセリング専攻の学生たちも受け入れているという事情もあるが、やはりゼミ自身の人気も高いのだ。

「東京学芸大学には学生1人ひとりを大切に育てようという伝統があります。私としても学部の4年間で実務家がきちんと育つような指導を心掛けているつもりです」

3年次の学生にはいわゆるゼミナール形式となるが、4年次には「英国式チュートリアル形式」で行ない、それが相川ゼミの大きな特徴ともいえる。いうまでもなくゼミナール形式とは毎週1回一定の時間に全ゼミ生が集合して、ゼミ生の当番が毎回交替で研究成果を発表し、全員でディスカッションしていく形式のものだ。一方、チュートリアル形式というのはイギリスの大学の多くが採用している形式で、相川先生もイギリス留学の機会に知って自らのゼミに採用することにしたもの。ゼミ生があらかじめ担当教員に予約を入れて、1対1で指導するものだ。

「それぞれの学生の研究上の問題点や悩み、そうしたことを解決するには、チュートリアル形式で個別に指導するのが一番効果的だと思います。こうしたことができるのも、教員に対する学生の数が絞られる国立系大学だからですね」

こうしたきめ細かな指導を相川先生自身ひいては東京学芸大学のセールスポイントにしていきたいとも語る。ソーシャルスキル普及活動で多忙を極める先生だが、その学生指導も熱心で熱い。

「以前でしたら○○大学卒というのがブランドになって、社会的にも通用しました。いまは大学で何を学んだのかが問われるようになっています。ゼミで学ぶテーマについては、将来就職を希望している分野に関係ないことでも構いません。いま所属している学科なり専攻なりのなかで見つけられるテーマでいいのです。就職試験の面接の場で、『大学ではこれを学んできました』と胸を張って言えるようになってもらいたい」

最後に、相川先生から最近の学生諸君への苦言をひとつ――。

「よく若者の活字離れが指摘されていますが、最近の学生は携帯電話にかまけるばかりで本を読む姿をあまり見かけないのは淋しいですね。小説でも何でもいいですから、活字からきちんと情報を読み取る力はぜひ必要です。インターネット等でいろいろ散発的に検索するのもいいのですが、やはり本には1冊ごとに世界がありますから、それらを丸ごと受け止める訓練をしておく必要はあると思います」

こんな生徒に来てほしい

まず身体が丈夫で健康な人がいいですね。我々の指導は結構きびしいですから、まずはそれに耐えられる体力を(笑)。それに自分で考えて行動し、自分で考えて批判できる人にも来てほしい。ただ我々のほうで4年間かけて指導できることもありますから、受験の段階では「そうなりたい」という希望さえ持っていればいいと思いますよ。

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