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Good Professor

宮脇 典彦

宮脇 典彦 教授
法政大学
経済学部

宮脇 典彦(みやわき・のりひこ)教授 1955年東京生まれ。78年慶応義塾大学工学部(現理工学部)管理工学科卒。83年同大学大学院工学研究科(現理工学研究科)管理工学専攻博士課程単位取得満期退学。86年米ロチェスター大学サイモン経営管理大学院博士課程修了(経営管理学博士)。86年法政大学経済学部研究助手。87年同助教授。92 年より現職。

主な著作に『実践的コンピュータ入門』(有斐閣)、『データ解析の基礎シリーズ』SAS編・Excel編・SPSS編(いずれも培風館)などがある。

人気番組「トリビアの泉」を支える統計学

法政大学多摩キャンパスに立ち並ぶ経済学部棟群
法政大学多摩キャンパスに立ち並ぶ経済学部棟群
広々とした早春のある日の多摩キャンパス全景
広々とした早春のある日の多摩キャンパス全景

テレビの人気番組に「トリビアの泉」というのがある。この番組の統計に関する解説で、しばしば出演しているのが法政大学経済学部教授の宮脇典彦先生である。先生は統計学・データ解析の専門家である。

同番組には「トリビアのタネ」というコーナーがあって、ここで「昔話の金太郎を正確に話せる日本人はどのくらいいるのか」という調査が行なわれたことがある。このときの調査指導と調査結果の分析をしたのも宮脇先生である。

「このように調査する母集団(ここでは日本人総数)が大きくても、2000~2500サンプルを調べれば十分信頼できる数字が得られます。これだけのサンプル数があれば、正確な割合のプラス・マイナス2%の幅のなかに95%の精度で入ってきます。これが統計の基本になります。ちょっと分かりにくいですか?」

先生はそう言って笑う。ちなみに、この「昔話の金太郎を正確に話せる日本人」の調査結果は1.4%であった。

高速道路料金所での車渋滞や電話システムにも応用

取材日は、時あたかも各サークル新入生勧誘の季節
取材日は、時あたかも各サークル新入生勧誘の季節

宮脇先生の専門は「経営統計学」。統計学を経済・経営に応用し、経営分析や経営データの解析をする学問分野である。

「経済活動なり経営活動をデータを用いて現状分析し、本質以外のものを捨象して、確率論や統計学の理論を使って因果関係のモデル化を図ります。作成したモデルを用いて需要などの将来予測をし、組織の意思決定に役立てます」

これを実際に研究したというコンピュータのシステムづくりの例から説明してくれた。

「こういう場合のシステムづくりでは、どのあたりでリリースするのかが問題になります。つまり、最良のシステムを求めて永遠に追求するわけにはいきませんから、予想される利益、それに必要なコスト、さらにバグ(プログラム上のミスや故障)発生に対するペナルティーなども織り込んで、目的関数を決定しそれを最大化するのです。言い換えれば、リリースするための最良の時期を統計学を使って見つけるということになります」

ほかに高速道路料金所のETC(自動料金収受システム)導入による車渋滞への影響、電話通話システムのキャパシティーの問題なども、統計学の応用例として説明していただいた。

統計学には理論研究と実践研究があり、宮脇先生はこれまで理論研究を中心に活躍してきた。それが近年は理論研究から離れる方向でシフトしていると語る。

「いまは大学生に向けた統計データ解析のテキストを執筆しています。この種のテキストでは執筆者の得意分野の記述が膨らんでしまい、バランスを欠く内容のものが多いのです。テキストは初学者向けの入門書で、こうした解析はどの分野でも必要とされるものですから、ひと通りの技術について満遍なく学べるものをめざして書いています」

05年内完成を目指しているそうで、新たなテキストの誕生に期待と注目が集まる。さらに今後は、乖離の大きい理論研究と実践研究についてその間を埋めるような教育・研究をめざしたいとも語る。

ゼミでの付き合いは一生モノ

為末大選手らアスリートを育て上げてきた陸上競技施設
為末大選手らアスリートを育て上げてきた陸上競技施設

法政大学経済学部の特徴のひとつは、充実した教員スタッフにあると宮脇先生はいう。

「法政大学は東京六大学の一角を担う歴史をもつ大学です。伝統ある経済学部ですから、多彩な分野の教員スタッフが集められ、経済学に関する学生の要望には必ず応えられる陣容になっています」

また、同学部はゼミ活動が盛んなことでも知られる。経済学科と国際経済学科・現代ビジネス学科(05年4月から開設)の3学科に約70のゼミが用意され、しかも経済関係以外の一般教養や語学の先生が開くゼミまである多彩さだ。

また、ゼミは2~4年次の学生が対象で、全員合同で行なうのも特徴である(1年次学生には入門ゼミが用意されている)。宮脇先生のゼミでは、例年8~9人ほどのゼミ生を受け入れる。同ゼミでも2~4年次のゼミ生が一堂に会して行なわれるのが原則だが、4年次には就職活動などがあるため、ゼミの中心は2~3年次のゼミ生になる。

「ゼミは毎週2コマ連続で行なわれ、最初のコマでは1年間を通したテーマで〝マーケティング〟〝企業財務〟〝ファイナンス〟などの研究に充てます。後半のコマは前期と後期に分けて、前期がコンピュータ系の学習(04年度はHTML言語学習)で、後期はゼミ生が各自で選んだテーマの個人研究の発表を行ないます。この個人研究は2~3年次は卒論につながるテーマから選び、4年次には本格的な卒論研究に取り組んでもらいます」

宮脇先生はゼミを通して学んでほしいのは、研究も大切だが、むしろゼミ生同士の人間的なふれ合いだと語る。

「そのため合宿は冬と夏の2回行ない、2月のスキー・スノボ合宿には新年度からゼミ生に加わる1年次の学生にも参加してもらっています。夏合宿では昼間は研究発表に費やし、夜は酒を飲みながら語り明かすのを恒例にしています。それに、4年次のゼミ生全員を卒業直前に私の自宅に招待するのも恒例にしています。ゼミでは人間関係に重きを置いて、帰属意識や社会性といったものを身につけてほしいと思いますね」

非常に親密なゼミの様子が伝わってくるようだ。宮脇ゼミで培われた人間関係は終生のものになるようで、ゼミ生のOB・OGの集まりである「宮典会(ぐうてんかい)」を通して親交を深めているそうだ。ただ、そんなゼミであっても、無断欠席すると即「除ゼミ処分」になるという。親密であってもなれ合うことを許さない、宮脇先生のきびしい一面でもある。

取材を終えてから、先生は、いまは亡き父親との思い出話を語ってくれた。広島出身だった父親は原爆で両親を失い自身も被爆した。それで先生がアメリカに留学するときには心理的な抵抗感が強かったという。その父親が先生の留学中2度渡米し、指導教授やホストファミリーとの交流を通して、しだいに米国やそこに住む人々に心を開いていかれたそうだ。心にしみる良い話ではないか。

こんな生徒に来てほしい

身の回りや社会でのいろんな問題点を自分で認識をして、それをどう解決していくかという視点をもった人がいいですね。問題点を指摘したり批判するだけなら簡単ですが、それだけではダメなのですね。批判したあとに、問題を解決するための代替案を建設的に提案するという視点をもつことが重要です。これは高校生の皆さんに限った話ではありませんけどね。

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