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Good Professor

間宮 勇

間宮 勇 教授
明治大学
法学部

まみや・いさむ
1957年福島県生まれ。79年明治大学法学部卒。89年同大学大学院法学研究科公法学専攻博士課程単位取得退学。89年明治大学法学部助手。95年ジュネーブ高等国際問題研究所客員研究員。97年明治大学法学部助教授。04年より現職。

主な著作に『国際経済法』(有斐閣)『現代国際社会と人権の諸相』(成文堂)『転換期のWTO』(東洋経済新報社)などがある(著作はいずれも共著)。

大国圧力から正義を守る国際経済法

間宮研究室のある駿河台キャンパス研究棟
間宮研究室のある駿河台キャンパス研究棟

明治大学法学部は創設から123年余という長い伝統を誇る。例年の司法試験においても常にトップ10にランクされるほど多数の合格者を出しているのも、同学部の伝統的特徴のひとつといえよう。その特徴について、同学部教授の間宮勇先生は次のように語る。

「明大法学部の特徴を一言でいうと『在野の精神』でしょうね。これは『官』に対するばかりでなく、『民』のトップに対してもその精神が発揮されます。つまり、官か民かにかかわらずトップが陥りがちな傲慢さに対し、反発しそれをいさめ押さえる精神。それこそが本来の意味での『在野』であり、この学部に脈々と流れるDNAのようなものですね」

そうした間宮先生の専門は「国際経済法」と「国際法」、なかでも「WTO体制における自由貿易原則」と「現代国際社会における国家主権」の2つが目下の研究テーマになる。

WTO(世界貿易機関)とは、多数の国が加盟している貿易協定の運用をしている国際機関のこと。ここでは、自動車・電気製品などの物品や銀行・旅客・弁護士などのサービスの国家間取引(貿易)における関税引き下げや輸入制限などの障壁を除く自由化を働き掛けている。また、それらの問題に関する国家間の紛争解決にもあたっている。このうち間宮先生が研究するのは自由貿易原則におけるセーフガードの位置付けである。

「貿易の自由化によって外国からの輸入量が増大し、それによって国内産業が圧迫される場合にセーフガード(緊急輸入制限)という措置をとることができます。アメリカが日本に対して車や鉄鋼などで実施しましたし、暫定措置でしたが日本でも中国の野菜を対象としたことがあります。そもそもこうしたセーフガード措置とはどのようにして発動されるのか、そしてどのような意味を有するのかを研究しています」 このことに関連して間宮先生はFTA(自由貿易協定)についても研究している。さらに、先生のもうひとつの研究の柱は国際法だ。いまや国際経済法の専門家としてみられる先生だが、本来は国際法の研究が出発点であったという。間宮先生は、自身の研究テーマについて豊富な例を示しながら噛んで含めるように説明してくれる。

「現代国際社会における国家主権の問題についても研究しています。世界の国家にはさまざまな形態や規模のものがありますが、それらはみな主権国家として平等で並立していると考えられています。しかし現実には大国の影響力が大きく、現在でいえばイラクにおけるアメリカの行動などはそのいい例でしょう。近年、こうした大国の一方的な行動・圧力が増大して、国家主権の後退あるいは弱体化が言われていますが、そうした状況に一定の歯止めをかけて小国の立場を守っていくために、現在でも主権は重要な意味を持っています」

そもそも大学とは?「考えること」を学ぶところ

一新して偉容を誇る明治大学駿河台キャンパス
一新して偉容を誇る明治大学駿河台キャンパス

2005年度の入学生から、明治大学法学部では大幅なカリキュラムの変更が行なわれる。1年次の講義とゼミに「現代法入門」と「法律リテラシー」が導入され、3年次から5つのコースに分かれて学ぶことになる(コース分けの実施は07年度からの予定)。間宮先生もこのカリキュラム変更に大きく期待を寄せるひとりだ。

「1年次の授業とゼミに入門的なものを導入した理由は、1年次からあまり高度な専門科目を教えますと、入学早々に音をあげてしまう学生がたくさん出てきてしまうからです。まず専門に入る前の基礎知識から確実に身につけてもらおうという配慮ですが、新入生には分かりやすいと好評のようです」

現行の法学部のゼミ演習は3・4年次の学生が対象となる。間宮ゼミでは各学年20人前後のゼミ生を受け入れている。3年次のゼミでは、まず先生から、国際経済法の意味・戦後の経済秩序の流れ・ガットからWTOへの発展等について講義があり、その後学生たちは講義をさらに掘り下げた研究を各自でして発表していく形をとる。さらに4年次になると、学生の要望を踏まえて先生から統一テーマが提示され、そのテーマについての個人あるいはグループ研究になる(明大法学部には卒業論文の提出義務がない)。ちなみに、04年度のテーマはずばり「FTA」であった。そこでゼミ生たちへの間宮先生の指導方針についてだが、じつは間宮ゼミのWebサイトにズバリ!大学で教えることの意味を考察した一文が掲載されている。そこでは、「学生は私とつきあってプラスになることがあるのか」「独り善がりな押し付けを教えているのではないか」という先生自身の自問から説き起こし、最後にゼミ学生との関係を大切にしたいと結んだ真情を吐露した考察がアップされている。これを受けて、間宮先生は次のように真意を話してくれた。

「わたしのゼミで扱っている国際経済法は内容がやや難解ですから、学生諸君にこれら全部を理解しろとは求めません。WTOの概略について理解してくれたらいいかなと思っているぐらいです。ならば、大学に来て何を学ぶのか?わたし自身の結論として、専門科目の勉強や人間関係を通して『考えること』を学ぶところだと思っています。学生同士あるいは学生と教師との付き合いを通して悩み、考え、議論するところ――それこそが大学なのですよ」

大学生になって議論したことがないなんて

明治大学駿河台キャンパスのシンボル「リバティタワー」
明治大学駿河台キャンパスのシンボル「リバティタワー」

学生間はともかく、教師との関係についてはゼミという濃密な場で学ぶことになる。そうした間宮ゼミでの中心的な命題はつねに「議論」だという。

「昔にくらべて最近の学生は議論に慣れていませんからね。何故そんなことが言えるんだ、違うんじゃないかと、わたしのほうから議論をふっかけていくと、一瞬ひるんで表情を引きつらせるゼミ生もかなりいます。大学生にもなって議論をしたことがないというのは不幸なことですから、わたしのほうから議論をふっかけて煽ってやるようにしています。そうすればゼミ生は逃げられませんからね。いや応なく自分で考えざるを得なくなりますし、議論に応ぜざるを得なくなるわけですよ(笑)」

学生時代に教授や学友たちとかんかんがくがく丁々発止と渡り合った思い出は青春一生のものともなろう。そのせいあってか、間宮ゼミOB会は毎回60~70人もの出席があって、ゼミ時代の議論の思い出やエピソードで大いに盛り上がるという。

最後に、大学において法律を学ぶことの意味について間宮先生にまとめてもらった。

「法体系を学ぶということは、その社会の価値体系を理解するということです。それが理解できると、その社会の今後の動静が見えてきます。また外国の法体系と比較することで、対外的な動静も見えてくるはずです。そういう広い観点で法律を学んでほしいですね。難解な専門用語を操った法解釈で相手をけむに巻いて言い負かすための道具として法律を学ぶ――そんなことではあまりにも浅薄でつまらないし、学問ですらないと思います。」

こんな生徒に来てほしい

大学において法律を学ぼうというからには、まずもって社会に対して関心があることが前提となります。法律というのは公的に決められたルールです。社会で発生するさまざまな問題への対処あるいは問題発生を防ぐために法は存在しています。ですから、もともと社会への関心の薄い人が法を学ぼうとしてもちょっと苦しいでしょうね。

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