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Good Professor

相原 修

相原 修 教授
成蹊大学
経済学部

相原 修(あいはら・おさむ)教授
1949年神奈川県生まれ。72年一橋大学商学部卒。77年同大学大学院商学研究科博士課程単位取得退学。77年成蹊大学経済学部専任講師。80年同助教授。86年より現職。92~94年仏ESCPで在外研究に携わる。

主な著作に『欧州の小売イノベーション』(共著・白桃書房)『ベーシックマーケティング入門』(日本経済新聞社・中国語訳版あり)『グローバルマーケティング戦略』(共著・中央経済社)などがある。

日仏に焦点をあてた流通比較マーケティング

相原研究室がある成蹊大学10号館
相原研究室がある成蹊大学10号館
成蹊大学正門に続くケヤキ並木
成蹊大学正門に続くケヤキ並木

2005年3月、フランスの大手ハイパーマーケット「カルフール」が多額の債務を抱え、日本市場から事実上の撤退をした。同店が日本に1号店を出店したのは00年12月だったが、それより先に同店の日本展開は失敗するだろうと予測していた研究者がいる。成蹊大学経済学部教授の相原修先生その人である。

「カルフールが成功したフランス本国は、旧植民地からの移民が多いところで、消費者の経済格差が大きい。ところが、日本の消費者は豊かで成熟した層が多く、土地などインフラコストも高い。こういう条件においてどこまで安価な商品が提供できるのか疑問に思い、同店が日本展開をする前に著作(『欧州の小売イノベーション』)に書いたのです」

このときの相原先生の疑義が悪いほうに的中し、カルフールは日本撤退を余儀なくされた。
撤退にあたって同社の経営責任者は、相原先生らが指摘した点の対策が十分でなかったことを認めた(『日経ビジネス』05年4月11日号)。まさに経済学者の炯眼の見事さが証明されることになった。

相原先生の専門は「マーケティング論」。市場における企業の活動や消費者の動向などを調査研究する学問分野で、そのなかで「流通の国際比較」と「文化とマーケティング」を研究テーマにすえている。

「『流通の国際比較』などといいますと、日本とアメリカとを比較して研究するケースが目立ちます。しかし、国土規模や食習慣がまったく違う両国の流通比較だけでは十分とは言えません。そこで私はフランスに着目して、日本との比較で研究しています。国土・流通のスケールや新鮮なものを好む食習慣などがよく似ていますからね」

24時間営業のコンビニなんてヨーロッパでは例外

初夏のある日の成蹊大学本館
初夏のある日の成蹊大学本館

先のカルフールの日本進出に対する警鐘などは、その研究成果の一端ということになる。もうひとつの研究テーマの「文化とマーケティング」については次のように語る。

「日本では当たり前になっていることも、外国に行ってみると当たり前でないことが多々あります。たとえば日本では24時間営業のコンビニエンス店が多くなりましたが、フランスなどヨーロッパの国々では、日曜日には小売店は休業する店がほとんどで、例外的に駅や空港にある店が開いています。消費者の利便性を図り利潤追求をする日本型商法と、利潤追求よりも売る側の生活を大切にする文化の違いですね。どちらが正しいということではありませんが」

日本でのカルフールの失敗は、こうした日仏文化の違いを見誤った点も大きい。文化の違いは、現地に滞在して肌に触れて実感しないと本当の理解はできないともいう。

相原先生は他に「マーケティング教育」の研究にも力を入れていて、大学生に向けた入門書や参考書・CD―ROMなどの刊行も精力的に行なっている。自身の研究について話す相原先生はやや訥々とした語り口だが、研究に懸ける並々ならぬ情熱が伝わってきて、その温かい人柄がうかがわれる。

少人数制で「学外発信」も盛んなゼミ演習

昼休みの成蹊大キャンパス風景
昼休みの成蹊大キャンパス風景

成蹊大学経済学部は、04年度からそれまでの2学科を統合して「経済経営学科」だけの単科になり、その代わり選択自由な5コース制を導入した。学生が20単位を自由に選択できる「オーダーメードカリキュラム制」の採用など、学生自身による裁量が大きく広げられることにもなった。

「この学部をひとことでいえばゼミの数が多いことでしょうね。そのためどのゼミも少人数制で、教員と学生の距離が近いのが特徴です」

成蹊大学経済学部の特徴について相原先生はそう語る。ゼミ演習は2~4年次の学生が対象だが、2年次は導入ゼミ的色彩が強く、4年次は卒論研究が中心になり、本格的なゼミ研究は3年次ということになる。

相原ゼミでも3年次のゼミ生が活動の中心で、1年間かけてグループあるいは個人研究に精を出す。同ゼミの目玉は、首都圏6私立大の広告やマーケティングを学ぶ学生で組織された「大学生意識調査プロジェクト」への参加だという。

「毎年テーマを決めて参加6大学の学生1000人にアンケート調査をして、それらを集計・分析して冊子にまとめるという大掛かりなものです。わたしのゼミからは毎年5人ほどが参加しています。他大学の学生と共同して研究したり議論をするのはとても良い刺激と経験になっていますね」

日本広告業協会や大手広告代理店なども協賛するこの学生プロジェクトへの参加希望者は例年とても多く、出場者は選抜となることもある。いままで同プロジェクトが取り上げてきたテーマには、たとえば03年度は「大学生の『モノ選び』」、04年度が「広告とメディア」であった。 このほかにも広告コンクールや論文など各種公募にチャレンジするゼミ生も多いという。

非常に活発なゼミ活動の様子が伝わってくる。そうしたゼミにおける学生たちへの指導について相原先生はこう語る。

「自分で考えた意見をきちんと発表できるようになってほしいですね。よいアウトプットをするためには、よいインプットが重要になります。それに、新しいメディア手法等もうまく使って説得力のある発表にすることも大切です」

ところで、先ごろユニクロを展開するファーストリテイリング社は、これまでの多店舗・低価格路線から品質重視への路線転換を発表した。実は、この提言を提案したのは相原ゼミの大学院生なのだそうだ。昨夏、ユニクロ・インターンシップに参加した彼は、社長や役員に向けて新たなビジネスモデルの提言をしたところ、そのアイディアが採用され、全社をあげた路線転換につながったという。これこそ、相原先生の指導方針体現の好個の例にもなろう。

最後に、相原先生から現役高校生諸君に向けてのアドバイスをお願いした。

「いまは世の中の仕組みがどんどん変わって、先行きが不透明な時代ともいえます。こうして変わっていく社会に対して受け身で対応するのではなく、自分で新しい仕組みをつくり出すくらいの気構えで向かっていってほしい。そのために磨かなければならないのは"自己学習力"でしょう。是非それを大学4年間で身につけてほしいと思います」

こんな生徒に来てほしい

好奇心の旺盛な人がいいですね。いろいろなことに興味をもって「なぜこうなるのだろう」と原因を追究したり、変化するものへの関心を忘れない若者らしい人ならもっと素晴らしい。それに、これからの社会について自分の頭で考えていける人にも来てもらいたいです。

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