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Good Professor

上田 修一

上田 修一 教授
慶應義塾大学
文学部 図書館・情報学専攻

上田 修一(うえだ しゅういち)
1947年愛知県生まれ。72年慶應義塾大学大学院修士課程(文学部図書館・情報学専攻)修了。同年国際医学情報センター入所。79年慶大大学院博士課程修了。同年筑波大学文学部講師。81年慶大文学部講師。82年同助教授。89年より現職。

主な著作に『図書館・情報学概論 第二版』『情報の発生と伝達』(ともに共著・勁草書房)などがある

慶應義塾ならではの図書館・情報学とは?

上田研究室のある研究室棟
上田研究室のある研究室棟

慶應義塾大学・文学部には、「図書館・情報学」という専攻がある。他の大学にはない珍しい専攻だが、前身の図書館学科が創設されたのが1951年だから、すでに半世紀以上の歴史を有することになる。

この図書館学研究を標榜するユニークな学科に、情報学が併設されたのは66年。これも文科系の学科で情報学を教えるという点でユニークだ。

このように独特の地歩から幾多の人材を育て、世に送り出しているのが図書館・情報学専攻である。

「この専攻では、図書館全般についてと情報検索・情報サービスを含めた図書館情報学、それに情報メディアのことが学べます。目的としているのは、情報という角度から物事が見られる人間を育てたいということですね」

そう語るのは、同専攻で教鞭を執る上田修一先生である。  

慶應義塾大学・文学部では、1年次は学部全体の総合教育にあてられ、専攻選択は2年次からになる。さらに3年次から専門のコースに分かれる。こうした段階を踏んだ選択制度があることで、学生は入学前から専門領域を絞る必要がない。

慶應義塾大学・文学部では、1年次は学部全体の総合教育にあてられ、専攻選択は2年次からになる。さらに3年次から専門のコースに分かれる。こうした段階を踏んだ選択制度があることで、学生は入学前から専門領域を絞る必要がない。

「高校生の段階で大学進学後の専門を見極めるというのは酷な話で、大学に入ってから、大学での講義や先輩からの情報などいろいろ知って、そのうえで自分の進むべき進路が選択できるようになっています。学生にとっては非常に良いシステムではないでしょうか」と上田先生。  

2年次に図書館・情報学専攻に進んだ学生は、3年次になってから、図書館と情報メディア、それに情報検索の3つのコースからいずれかを選択する。ここでの選択は学生の自由である。  

図書館コースは、図書館のサービスと運営について学び、情報メディアコースは各種情報メディアの機能や作成・アクセスなどの実際について学ぶ。そして、情報検索コースは情報検索の知識と技術、そしてシステムの開発と利用などについて学ぶ。なお、どのコースで学んでも同専攻では、指定の科目を履修すると司書と司書教諭の資格が取得できる。 近年、大卒者の就職戦線は厳しい状況が続いている。特に文学部に代表される文科系にその傾向が著しい。そんな中にあって、図書館・情報学専攻では就職希望者のほぼ全てが就職しているという。就職先は大半が図書館ではなく一般企業だというが、やはり情報学を学んだメリットは大きいようだ。

日本のWWWサイトを図書館化学する研究に着手

慶應三田キャンパスの全景
慶應三田キャンパスの全景

上田先生の専門は図書館・情報学。その中でも情報検索分野の研究に力を注いでいる。 「インターネットのWWW(web)は急速な勢いで増えていて、現在全世界で30~40億ページあるといわれています。雑誌や書籍などの印刷情報をしのぐ勢いです。このWWWはいったいどのくらいの数があるのか、リンクの構造、信頼性の問題、URLの寿命などについての研究をしています」

そして、最近、他の研究者たちと共同して着手しているのが、わが国の全インターネットサイトを網羅して保存しようという試みである。日々膨大な数のサイトが生まれては消滅しているが、それらを丸ごと保存してしまおうという、壮大とも、気が遠くなるともいえる作業に挑んでいるのだ。

「いわばWWWの保管庫ですね。作業はすでに始まっています。ただ、日本の全サイトといっても、どこまでが日本のものか範囲の規定が明確ではありませんし、著作権など法律的な面でも解決しなければならない問題もまだ多く残っています。これからの研究課題ですね」  

さらに、この研究のめざすところについて、次のように語る。 「WWWは常に動いていますし、まだ善なのか悪なのかも、よくわかっていません。そもそも本なのか、テレビなのか、それともまったく別のものなのか、それすらもわかっていない。"WWWとはこれだ"と規定できるような実態を捉えること、それが究極の研究目的だろうと思っています」  

遥遠な研究はその緒についたばかりである。この他に、大学図書館における学術情報の扱いについてのWWW画像による牽引検索処理なども上田先生の研究テーマだそうだ。

ホームページを大学選びの判断基準に

慶應のシンボルでもある旧図書館の建物
慶應のシンボルでもある旧図書館の建物

慶應義塾大学・文学部は、卒業論文の評価が厳しいことで定評があるという。当然ながら図書館・情報学専攻でも同じで、上田ゼミではその卒論につなげられるような徹底した指導が行われている。

「私のゼミでは学生数人による共同研究から始めて、個人研究に移行するようにしています。研究ではデータを集め、論考し、発表して評価されます。このプロセスを幾度も繰り返して身につけてもらいます。そのために私も、ゼミの学生とはなるべく話し合う機会をもって、それぞれの学生の特質を考慮しながら研究テーマを与えるようにしています」

上田先生は学生と頻繁に話し合うことで、学生一人ひとりの生活環境や家庭環境までも把握していると語ってくれた。淡々とした静かな語り口のなかに、実直で篤実な人柄がよく表れ、学生にもきめ細かな指導をしているだろうことが窺える。

最後に、情報検索について受験生の身近な例から話してくれた。

「受験生はいろんな大学のホームページを見ておいたほうがいいですね。大学によってはホームページを開設していないところ、開設していても入試情報を事務的に流しているだけのところがあります。私はそうした学校は志望校から外したほうがよいのではないかと思います。受験生にその学校の特徴やいいところをアピールしていないのは大問題です。

情報検索というのは、ただ情報を受け入れるだけでなくて、その価値判断を下していくことが重要で、ホームページの内容を大学選びの判断基準にしてもいいと思いますね」  

これは上田先生からの辛口のアドバイスでもある。

こんな生徒に来てほしい

まだ高校生では自分の将来もよくわからないでしょうから、普通の人が来てくれればいいと思います。将来のことは大学に入ってから見極めればいいのです。ただ、大学で学問をするエネルギーとか活力だけは必要な気がします。とくに最近の男子学生には元気のない人が目立ちます。頭の良さよりも、エネルギーや活力のほうが大事な気がしますね。

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