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三浦 俊彦

三浦 俊彦 教授
中央大学
商学部

三浦 俊彦(みうら としひこ)
1958年京都府生まれ。86年慶應義塾大学大学院商学研究科博士課程中退。86年中央大学商学部助手。90年同助教授。95年コロンビア大学ビジネススクール客員研究員。96年ESCP(パリ高等商科大学)客員教授。99年より現職。

主な著作に『マーケティング戦略』(共著)、『eマーケティングの戦略原理』(共編著・ともに有斐閣)などがある。

マーケティング研究は自分発見の場

広大な面積を誇る中央大学多摩キャンパス
広大な面積を誇る中央大学多摩キャンパス

中央大学には、「経済学部」と並んで「商学部」がある。この二つの学部は何が違うのか? まずその違いから、商学部で教鞭を執っている三浦俊彦教授に話してもらった。  

「経済学部というのは、経済のマクロ的な動きや世界経済・日本経済の流れなどを研究対象にしています。それに対して、商学部は実際の企業の活動ですとか、消費者の行動などを研究対象にしています。高校生諸君も消費者なわけですから、より身近な問題として感じてもらえるのではないでしょうか」

その商学部のなかで、三浦先生の専門は、マーケティングと消費者行動である。  「マーケティングと消費者行動は一体のものです。マーケティング戦略には、四つのPがあるといわれています。製品(Product)、価格(Price)、広告(Promotion)、流通(Place)の四つで、個別の消費者行動に適応するようにこの4Pを構築していくことになります」 。

そこで三浦先生は、具体的にフォードやサントリー・伊勢丹・ソニー・味の素・スターバックスなどの事例を挙げて、マーケティングについての話をしてくれた。誌面の関係ですべて紹介できないのが残念だが、これがすこぶる興味深い話ばかり。そして、それを語る先生は、次から次へと事例を出して淀むことがない。いかにこの研究に情熱を傾け、また研究を自ら愉しんでいるのかが伝わってくる。

マーケティング研究は自分発見の場にもなる

三浦研究室のある2号館総合研究棟
三浦研究室のある2号館総合研究棟

「消費者行動は時代とともに変わります。70年代までは3C(車とクーラー・カラーテレビ)をみんなが求めたように、消費者の意識・欲求は一元化していました。80年代になると、成熟社会に入り消費者の欲求が多様になって、企業も製品の多様化で対応しました。90年代に入ってからは多様化は非効率ということになり、製品種類の整理削減が行われてきました。そして現在は機能だけでは満足しなくなった時代とでもいいますか、消費者に夢とストーリーを与えるようなマーケティング戦略が必要になっています」

「アイボ」に代表されるソニーの製品群やブランド商品の隆盛などに、それが表われているという。さらにインターネットの登場によって、マーケティング戦略は大きな転換期にある。

「これまで商品を買ったり消費する場所はリアルなお店に限られていました。いまはインターネットを介して商品を売買したり、オークションにも参加できます。つまり、消費者はリアルなお店で買うばかりでなく、気軽に個人からも買うことができるようになりました。そのうえネットで豊富な商品情報も得ています。ですから、消費者のほうがどんどん先を行って、企業の側が追いついていけないというのが現状ですね」。まさに時代に即応した研究分野である。したがって、研究課題には事欠かないという話だが、それもよくわかる。

さらに、三浦先生はマーケティングの研究は自分発見の場にもなるという。

「消費者行動というのは非常に複雑です。経済的要因はもちろんですが、他人の目や自分自身のニーズなど心理学的・社会学的な要因が絡みあって、消費行動に現われます。なぜ自分はその商品がほしいのかを解明するのもマーケティングなのですが、それを分析していくと自分を発見することになるのですね」。

いや、じつに面白い話が尽きることなく続く。

テーマは文字とおりのアップ・トゥ・デイト

ゼミ生に囲まれつつ、デュビュイ客員教授と記念撮影
ゼミ生に囲まれつつ、デュビュイ客員教授と記念撮影

さて、三浦ゼミの話に移ろう。ゼミは2年生最後の春休みから始まる。  

「春休みにP・コトラーの『マーケティング・マネジメント』をゼミ生全員で読んで、毎回宿題を出してもらって、マーケティングの基礎的なことを徹底的に覚えてもらいます。その上で4月からは実際の企業の事例に即してケーススタディをします。具体的にはゼミ生を三つのグループに分け、同じテーマをグループごとに議論して発表し、それをゼミ全体で質疑応答するというスタイルです」

研究テーマはアップ・トゥ・デイトなものが多くなる。たとえば今年度では、マクドナルドとモスバーガー、サッポロビールと他のビール3社、東芝の携帯電話、それに日本に進出したフランスの小売業カルフールなどが俎上にのった。とくにカルフールの研究では同国から客員教授で来ていたデュピュイ教授の参加もあり、白熱した議論の展開があったようだ。  

このほか、ゼミの夏合宿でビジネスゲームを4班のグループ対抗で競い合ったり、電通の学生広告論文募集にグループで調査研究して応募するのが毎年の恒例でもある。このようにゼミ生たちはマーケティングの研究と実際とを徹底的に鍛えられていくのだ。そのせいもあってか、ゼミ卒業生の就職状況は大手メーカーや広告代理店を中心に好調だという。

センスで方向づけてサイエンスで理論づける

三浦先生によれば経済学はいわゆるサイエンスの要素が大きいが、商学とくにマーケティングではさらにセンスが重要だと語る。

「消費者行動の要因は複雑で、経済学のマクロ予測モデルのような数学的な公式で表わすことは困難です。公式で表わしにくいということは、"センス"が重要になるわけですね。つまりマーケティングでは、センスで方向づけたものをサイエンスで理論づける手順をとることになります。センスというと、それを持ち合わせていないと駄目だと思われがちですが、これは問題意識のもち方ではないでしょうか。常に問題意識をもって感覚を研ぎ澄ましていれば、センスは自然に磨かれてくると思います。マーケティングでのサイエンスや調査手法・分析手法などについては勉強するしかありませんね」

こんな生徒に来てほしい

学問的センスを磨きたい人、サイエンスの心をもちたい人ですね。高校までは基礎的な知識の学習が大切ですが、大学は物事の見方を広げるところだと思います。多様な見方や複眼的な視点で物事を捉えられるようになってほしいです。何か一つ自分の決定版というものを見つけてくれたらいいと思っています。

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