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Good Professor

酒井 由美子

酒井 由美子 助教授
中央大学
法学部 国際政治学専攻

酒井 由美子(さかい ゆみこ)
1960年福井県生まれ。86年中央大学・法学部卒。87年同大・法学部助手、93年同助教授、96年インドネシア大学日本研究センター客員研究員を経て、98年より現職。

主な著作に『アジアの国家とNGO』(共著・明石書店)、『構造的暴力と平和』(共訳・中央大学出版部)などがある。

法科の中央大学で第三世界の政治問題を研究

雨にけぶる中央大学多摩キャンパス
雨にけぶる中央大学多摩キャンパス

中央大学といえば「法科の中大」ともいわれ、法学部は同大学を代表する顔のような存在である。すでに100年以上の歴史と実績があり、幾多の人材を輩出してきたことで知られる。  

同学部は、「法律学科」「国際企業関係法学科」「政治学科」の3つの学科から構成されている。ここで国際政治を教えているのが酒井由美子先生。専門は「第三世界論」の研究である。これは発展途上国に関する問題を扱う分野で、なぜ第三世界では貧困問題や貧富の格差が常態化しているのか、また紛争や不安定状態が絶えないのか、そうした問題を政治構造上から解明して把握しようという研究となる。

「ただ第三世界と言いましても、一くくりにはできません。非常に多様な国や地域があって、民族や宗教・集団、都市と地方の格差など、それぞれが複雑な問題を内包させています。その一方で、近代化や民主化・法治国家建設などが遅れている点では共通しています。こうした第三世界の国々を研究することは、後発型工業国として成り立ってきた日本の近代化過程を知ることにもなり、その過程で失ったもの、あるいはこれからの可能性の発見にもつながる研究だといえます」  

酒井先生は話し方が丁寧で、穏やかな優しさを感じさせる。第三世界についての研究をしている先生だが、なかでも強い関心を寄せているのがインドネシアである。

第三世界には先進国とは違う歴史や情報がある

酒井研究室のある2号館総合研究棟
酒井研究室のある2号館総合研究棟

「第三世界の国々というのは、建国の当初から国家の権力を握る層と国民が乖離しています。これは植民地時代の負の遺産として残ったもので、いろんな紛争の原因にもなっています。それで、私の場合は日本の隣人である東南アジアへの関心から、特に最大の人口を抱え、オランダの植民地でもあったインドネシアについての研究をしています。研究の中心になるのはイスラム組織とNGO(非国家主体)が、インドネシア政治にどう関わっているのかということです」  

これを様々な政治理論や市民社会論・グローバル化論などを組合せて調査研究しているのだという。

その酒井先生が担当している講義は、「国際学」と「第三世界論」。特に第三世界の問題については、先生の講義を受けて認識を変える学生が多いようだ。  

「こういう問題は言葉の講義だけでは伝えにくいところがありますから、ビデオを多用するようにしています。私としては、第三世界は訳がわからなくて恐ろしい、貧しくて可哀相だというイメージで捉えてほしくありません。そこに暮らしている人々は、明るくて人間的に豊かであったり、ワクワクするような魅力的な暮らしぶりをしています。そうした標準化されていない現実を発見してほしいと思っています」  

それらは学生にも十分伝わっているようで、ビデオで見た感想をびっしりとレポートに書いて提出する学生が多いという。

インドネシア体験旅行で学生たちの顔つきが変わる

酒井ゼミには、第三世界を直接体験できる機会が用意されている。毎年後期の日程に10日間ほどのインドネシア体験旅行が組まれていて、希望者は誰でも参加できるのだ。酒井先生も可能な限り同行しているという。

「この体験中に、参加した学生はみんな顔つきが変わってきますね。現地ではイスラムの宗教施設の寄宿塾に泊まって生活をしますが、物質に溢れた世界から行く学生たちには強烈な体験になるようです。非常に原始的なトイレしかないような施設で、現地の人と一緒に暮らして、24時間異文化に晒されるわけですからね。日を追うごとに学生たちにためらいや恥ずかしさがなくなり、みるみる逞しくなっていくのがわかります」

決して豊かではない第三世界の人々から受ける精一杯のもてなし、深く神に祈る人々の姿――そんな非日常的な環境で一緒に生活をして、学生たちも変わらないではいられないようだ。

「それを見ていますと、日本の若者にもまだまだ豊かな感受性のあることがわかります」と酒井先生は微笑んだ。  最後に、進路に悩む受験生に向けて先生はこう話してくれた。

「法曹界をめざすとか、法律を身につけたいといった目標のはっきりした人は、法律学科なり、国際企業関係法学科なりをめざせばいいと思います。そうではない、まだ自分探しの渦中にある人で、政治とか国際関係の場で自分を探してみたい人は、ぜひ政治学科で学んでみることも選択肢の一つとしてお勧めします。政治学科には、それらをウロウロと探す機会とバリバリと活躍する場も用意されていると思いますよ」

こんな生徒に来てほしい

まず国際社会に関心をもっていて、日本だけでなく国際社会に出て活躍してみたい人ですね。それに身近な問題についても、「なぜ、そうなのか?」という疑問をたくさんもってしまう人、物事を批判的に見られる人、物事のカラクリを明かしてみたい人、そんな人たちにもぜひ来てほしいと思います。

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