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Good Professor

徳田 英幸

徳田 英幸 教授
慶應義塾大学
環境情報学部

徳田 英幸(とくだ ひでゆき)
1952年東京生まれ。77年慶應義大学・大学院工学研究科修士課程修了。83年ウォータールー大学・大学院博士課程修了。90年カーネギーメロン大学計算機科学部准教授。同年慶應義塾大学・環境情報学部助教授。96年同教授。01年同大SFC政策・メディア研究科委員長。主な著作に『ディジタルメディア革命』(共著・慶應義塾大学出版会)がある。
徳田教授のホームページhttp://www.ht.sfc.keio.ac.jp/~hxt

「ユビキタス」で世界最先端!いっしょに新情報環境をつくろう

慶應義塾大学湘南藤沢キャンパスの全景
慶應義塾大学湘南藤沢キャンパスの全景

2002年、慶應義塾大学・環境情報学部教授の徳田英幸先生は、米国IBM社が選定する「ファカルティー・アワード」に選ばれ、日本人として初めて受賞した。これは世界の優れた研究者に贈られる賞で、徳田先生の「ユビキタス・コンピューティング」の研究内容が世界の最先端として評価されてのことだ。 ユビキタス・コンピューティングというのは、現在主流のパソコンやブロードバンド・ネットワークを継ぐ、次世代のネットワークだといわれる。それは具体的にどんなものか、そのあたりから徳田先生に聞いてみた。

「ユビキタスというのは、あらゆるものがコンピュータ・ネットワークでつながって、人間の行動支援をしてくれる情報環境のことをいいます。現在のコンピュータ・システムの操作には、まだまだ敷居の高いところがあります。私たちが目指しているのは、日ごろ身につける、例えばメガネのようなコンピュータ・システムです。本を読むときメガネをかけていることをふつう忘れていますよね。それと同じように、ネットワークが無意識のうちに効率よく支援してくれる状態ですね」

遠い夢のような話に思われるかもしれないが、徳田先生の研究プロジェクトではすでに実用実験が始められている。たとえば、あなたがA室でテレビ番組を見ていて別のB室に移動すると、コンピュータ環境側で君の位置情報をセンサーしてB室に同じ番組を自動的に転送するようなシステムだ。あるいは家具を思わせる置物のなかにネットワークを制御するソフトウェアを組み込んで、その周辺をユビキタス・サービス空間にするようなシステム等々だ。とくに後者のシステムについては、2002年スイスで開かれた国際会議でデモンストレーション公開して大好評を博した。

「現在の実空間とサーバー空間には、2つの空間に別れて存在している限界があります。ユビキタスの技術はその2つをリンクさせて融合させるものといえます。この技術は個人に特化したサービスの提供も可能で、目が不自由な情報弱者の方をはじめ、高齢者や小さな子どもでも簡単に利用できるようになるはずです」  

コンピューテイングの世界はまだまだ限りない進化の過程にある。徳田先生は、その研究開発のトップリーダーとして牽引しているのだ。

SFCで学ぶ学生たちにほしい4つのマインド

実験室で執務中の徳田先生
実験室で執務中の徳田先生

慶應義塾大学・湘南藤沢キャンパス(SFC)が創設されたのは90年。それまでともすると縦割りになりがちだった学問分野を横断的に横割りに再編成し、新しい知識体系をもった人材の育成を目的に、「総合政策学部」と「環境情報学部」の2つの学部を設置。日本の大学では初の試みで、徳田先生はその創設時から関わってきた。

「創設から14年目になりますが、キャンパス・カルチャーは健全に育っているといえるでしょう。学生たちがストレートに勉学や研究に取り組んでいて、そうした真面目な学生を冷笑するような雰囲気がないのがいいですね」

先生は、SFCで学ぶ学生には4つのマインドをもってほしいという。

1.科学的に考える(Scientific Mind)
2.きちっとしたものにつくる(Engineering Mind)
3.使う人の感性に訴える(Artistic Mind)
4.それをビジネスとして考える(Business Mind)

の4つだ。SFCの大きな特徴として、学生が希望すれば1年次からでも各教員の研究プロジェクトに参加できるところがある。

「SFCでは従来の大学教育の積み上げ方式とは違って、早い時期から研究プロジェクトへの参加を認めています。これはSFCの理念に問題発見解決型の人材育成があるからです。ここでの研究プロジェクトには社会との接点をもった実践的なものが多く、それに学際的な学部ですから内容も多様なわけです。SFCに来れば、自分のやりたいプロジェクトが必ずあると自負しています」

そんな徳田先生の研究プロジェクトには学生・大学院生合わせて50人ほどが参加している。テーマごとに5つのグループに分かれ、それぞれ研究開発や実証実験をしていく。先生の指導方針は学生には動機づけだけを与えて、あまり教え込みすぎないようにすることだという。それぞれの学生の長所を伸ばしていくというスタイルである。

「慶應の教育方針のひとつに"自学自修"というのがあります。自分で面白いテーマを見つけて自分で研究することが一番身につくことになりますからね。それに、学生たちには海外での論文発表を勧めています。学部の学生が国際会議で論文発表をした例もありますよ」

また毎年夏には、徳田先生の前任校であるカーネギーメロン大学の学生との交流が図られていて、10数名の学生たちとともに米国を訪れるのが恒例になっている。

次世代メディア・知的社会基盤のCOE責任者

徳田プロジェクトがある湘南藤沢キャンパスデルタ館
徳田プロジェクトがある湘南藤沢キャンパスデルタ館

徳田先生はまた「21世紀COEプログラム」の拠点リーダーという大役も務めている。COEというのは文部科学省が大学の国際的な研究プロジェクトを支援助成する制度で、慶應義塾大学のCOEプロジェクトのひとつ「次世代メディア・知的社会基盤」の統括責任者を任されているのだ。

「このプロジェクトは、次世代メディアのネットワークがさらに進んだ場合、社会にどう影響するのか、あるいは知的社会の基盤となるアーキテクチャーはどうあるべきかなどを研究するものです。ここでは、情報系をはじめ政策・メディアなどいろいろな研究者たちが集まって、5ヵ年計画で研究を続けています」

このプロジェクトのRA(Research Assistant)として参加できるのは大学院博士課程以上ということで、塾生諸君には少し先のことになる。しかし、将来はこうした高度な研究プロジェクトの一員に加わる道も用意されていることを知っていて損はないだろう。

徳田先生は最後に高校生に向けて、次のようなコメントを寄せてくれた。 「私たちの研究室では、新しい社会の仕組みやこれからの情報環境を考えたり、まったく新しいシステムをつくり出すことを目指しています。ですから、若いみなさんのアイディアが活かされるチャンスも大いにあります。これからの主役は若いみなさんたちなのです」

こんな生徒に来てほしい

知的好奇心の強い人。といっても、あまり頭でっかちではなくて、行動力のある人たちと出会いたいですね。ほかの大学とか研究所などと積極的にコラボレーションできるような人ですね。うちの研究プロジェクトでは、毎学期ごとにスポーツイベントも開いています。その意味でも、身体も頭も動かせる元気な人を期待しています(笑)。

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