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Good Professor

峰岸 真琴

峰岸 真琴 教授
東京外国語大学
アジア・アフリカ言語文化研究所

みねぎし・まこと
1956年生まれ。79年東京大学文学部第3類言語学専修課程卒。81年東京大学大学院人文科学研究科博士課程単位取得退学。専門は「オーストロアジア言語学」「タイ系言語学(東南アジア大陸部)」「言語類型論」「言語基礎論」。主な著書は『日本語カンボジア語辞典』(ペン・セタリン氏と共著、 めこん社)『サンタル語用例語彙集』(英文)(東京外国語大学アジア・アフリカ言語文化研究所)など。
なお先生のWebサイトはこちら → http://www.aa.tufs.ac.jp/~mmine/index-j.html

さまざまな言語学を結ぶ第一人者

語学系受験生のあこがれ東京外大の正門付近のモニュメント
語学系受験生のあこがれ東京外大の正門付近のモニュメント

今回登場していただく東京外国大学の峰岸真琴先生はその研究の間口の広いことで知られる。もともと言語学者としてカンボジア語の研究に没頭して日本語・カンボジア語辞典などの編纂などにも携わってきたが、いまでは広くアジア全般の言語文化の研究でも名高い。

「世の中における学者の一般的イメージはひとつのテーマをひたすら何十年と研究して……というものでしょうか。わたしの場合、その時々にこれは面白いなと思ったことは全てやってみようというのが基本的姿勢なので(笑)。いろいろと幅広く手がけてきただけなんですよ」

峰岸先生が研究生活に入った当初からの専門分野は東南アジア大陸部の言語研究だ。タイやカンボジアなどの言語である。学生時代にバンコクに留学し、その後インド東部の少数民族の言語である「サンタル語」や東北部アッサム地方の「カシ語」などの研究を始める。

「これらの少数諸民族の言語はクメール語と同源ではないかという説がありましたので、それらを検証するために研究することにしたのです」

まずカンボジア(クメール語)という土台があって、そのうえに他の関連諸言語へと研究の間口が広がっていったことが窺える。いってみれば、何事も基本が大事ということを先生は身をもって実践していることにもなる。

「○○語などと限定せず、ただ幅広く受け付けているだけなのです(笑)」

文系からも理系からもアプローチ可能な言語学

ある夏の日の東京外大府中キャンパス正門付近
ある夏の日の東京外大府中キャンパス正門付近

そもそも峰岸先生はなぜ言語学を志したのか? そのきっかけは中学時代にさかのぼる。

「中学生のとき、英語と数学が好きで熱中するとともに、国語(日本語)の文法と漢文にも興味がわいてきました。そして、それぞれバラバラなこれらの科目が自分の中でひとつにならないかなぁと思ってしまった(笑)。つまり、言語と数学(とくに記号)は何か関係があるんじゃないの? という素朴な疑問というか直感から始まったのです」

そして大学に入った先生は、それらの共通のキーワードが言語学だということに気がつく。

「残念ながら言語学は世間から難しいといわれてしまう面も確かにあります。しかし、文系からも理系からもアプローチできる多面的な学問的存在でもあると思っています」

さて、いま峰岸先生は東京外大のアジア・アフリカ言語文化研究所(AA研)の情報資源利用研究センター長の任に就いている。AA研とは、先進国以外の世界中の言語文化を研究する機関であり、ここでの研究成果は、たとえば貴重な辞書類をまとめるといった形になって残る。

また、言語研修(語学)の専門教育もAA研の重要な役割となる。そのためAA研には、全国のほかの大学の学生からの問い合わせや相談も多い。東京外大の教授が非常勤講師として行った先の学生が問い合わせしてくることもある。これらの問い合わせ等に応じて情報や資料の提供なども行なう。

AA研のこのような活動の窓口となっているのが、峰岸先生がセンター長を務める情報資源利用研究センターなのだ。

「ヨーロッパ系の言語学の研究者は日本全国に割とたくさんいるんですが、アジア・アフリカは少ない。そこで、東京外大のAA研が情報や資料面でのセンターの役割を果たしているわけです」

アジアからネイティブ・アメリカンの言語まで

さらなる東京外大の特徴として、単に言語の研究のみにとどまらず、その言語が話されている地域の研究についても力を入れていることがある。これらの地域研究を掘り下げて行なっているのが同大学院であり、峰岸先生は現在この大学院でも教鞭をとる。

大学院での担当は「言語類型論」。ひとことで言えば言語をタイプごとに分類する研究だ。世界中のさまざまな言語を類型の視点から分析や研究・検証を加えていく。

「世界中の諸言語をつなげていって言語一般に関心を広げるのが私の講義のおもな内容となります」

アジアを中心に多様な言語の研究を手がけてきた峰岸先生にまさにうってつけの講義といえよう。言語文化の研究といっても、机上でするものばかりではなく、実際にそのことばが話されている地域に足を運び、その土地の風土や習俗などについての調査も行なう。このような作業をフィールドワークというが、かつてインド東北部の少数民族の言語を研究した際、峰岸先生自身も直接アッサム地方を訪ね調査を行なった。

ちなみにいま関心をもっているのは、北・中米のネイティブ・アメリカン(インディオ)と呼ばれる先住民たちの言語文化だという。またもやアジアを飛び越えそうな勢いで、いくつになられても先生の守備範囲はやはり幅広い。

最後に、言語学系を志望する現役高校生諸君にアドバイスをいただいた。

「結果が明示的かどうかということだけが問われるような風潮の今の時代、語学に限らず文系科目は何となく虐げられてきたような気がしますよね(笑)。その点、言語学も社会的な成果をどんどん吐き出せる性格の学問でないのは確かです。しかし、研究として筋の通ったことをしていれば、他の分野でもいつか必ず応用が効くようになります。あえて文系といわれる学問があるからこそ、理系もふくめた各専門分野の研究がつながることもよくあることなんです」

こんな生徒に来てほしい

何事も好奇心が大切となります。そして、自分の関心のある特定分野の科目ばかりでなく、さほど関心のない方面にも目配りできる学生のほうが伸びますね。これから言語学を志そうという学生には、あまり関心のない科目でも簡単に捨てないほうがいいとアドバイスしています。言語学はいわゆる文系分野ですが、数学や生物学とも関係してくるので早めに捨てないほうがいい。引き出しはいっぱい持っていたほうが将来いいことがありますよ。

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