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Good Professor

横山 真一郎

横山 真一郎 教授
武蔵工業大学
工学部 システム情報工学科

よこやま・しんいちろう
1952年東京生まれ。76年武蔵工業大学工学部経営工学科卒。82年東京工業大学大学院工学研究科博士課程修了。82年武蔵工業大学工学部経営工学科助手。90年同助教授。96年同教授。02年工学部改組により現職。85年米ロチェスター大学客員研究員。主な著作に『基礎と実践COBOL』(共著・技術書院)がある。
武蔵工業大学のWebサイトアドレスはコチラ → http://www.musashi-tech.ac.jp(携帯も可)

企業経営への工学的支援研究のパイオニア

横山研究室のある武蔵工大1号館
横山研究室のある武蔵工大1号館

武蔵工業大学の世田谷キャンパスは東京・世田谷の閑静な住宅街の中にある。そのせいか、キャンパス内の雰囲気も整然とした落ち着きが保たれている。ここには9学科からなる工学部と同大学院が収められ、日々多くの学生たちが勉学にいそしんでいる。今回紹介する横山真一郎先生は工学部システム情報工学科の教授で、同学科の主任教授でもある。まずは「システム情報工学」という学問カテゴリーの説明からしてもらおう。

なお、07年度から武蔵工業大学に「知識工学部」が開設される予定だ。先生が所属される「システム情報工学科」は「応用情報工学科」に名称変更される予定だが、教育の基本的考え方は変わらない。また大学院のほうは「システム情報工学専攻」のままだという。

「これまで工学といいますと、機械なら機械、電気なら電気で専門別に特化した研究がされてきました。しかし近年の情報社会のなか、工学をよく理解したうえでの社会生活を円滑に送るためのシステムづくり、あるいは企業経営においても工学技術を生かしたマネジメントシステム構築などがなされるようになっています。そうしたことを研究する分野がシステム情報工学ということになります」

どうやら各種のシステム工学的な手法・成果を横断的に利用する試みが特色といえるようだ。たとえば統計的品質管理や応用確率論などを駆使して、店舗出店のときの立地や品ぞろえ・店舗設計・販売予測等あるいは企業経営における需要予測や進捗管理・配送計画などを支援していく。もはやこうなると、工学はもちろん理系の域をも踏み越えた学際的分野という感じさえする。

「これまで店舗営業や企業経営といったノウハウなどは文系分野のものとされてきましたが、これらに工学的なデータ解析等を応用して支援していくものとなります。いまも私の研究室では、実際の大型スーパーマーケットとかネット通販事業への支援をしています。このほか、工学研究そのものへの支援をはじめ人間工学や社会生活への支援なども行なっています」

このうち企業経営への工学的支援については日本で最初に始めた1人が横山先生その人なのだ。

企業経営とシステム情報工学手法との統合

武蔵工業大学の正門プレート
武蔵工業大学の正門プレート

そんな先生がいま手掛けている研究テーマとしては4つあるという。

「まずは信頼性と安全性の問題で、これはものづくり一般の基本になります。どうしたら不良品を軽減できるのか、私の場合は大量生産される製品よりもデータの少ないロケット打ち上げのようなケースでの信頼性・安全性について研究しています」

「それに工学的なデータを用いたマーケティング研究ですね。さらに社会生活を便利にしていくためには、感性やセンス・フィーリングのようなものが重要になるわけで、この部分をどういう工学的手法で解決しようかという研究です」

「3つ目はいわゆるプロジェクト・マネジメント。企業内において短期のプロジェクトチームを組むときの①メンバーやリーダーの人選②メンバーのモチベーション高揚③進捗管理などについてのシステム工学的研究ということになります」

「さらに4つ目が災害リスクの分析です。過去の地震や風水害などの災害データを入力して全国的な〝危険度マップ〟を数年ごとに作成しています。それによって企業などの重要な情報の保管やサーバーの設置場所などの参考にしてもらっています」

こう見てくると横山先生自身の関心というか、単に工学的興味だけでなく企業経営などにも知識と造詣が深いことがよく分かる。

OBたちが大挙参加する濃密な研究室環境

初夏のある日の世田谷キャンパス
初夏のある日の世田谷キャンパス

武蔵工大工学部の学生たちは3年次の後期から各教員の研究室に仮配属となる。そして4年次進級から正式配属される。横山研究室では例年10人前後が研究室入りして、1年間の卒業研究に励む。

その研究室の特徴として、OBの応援協力が盛んなことがある。毎月1回1泊で「ミニ合宿」が実施されるが、「夏合宿」には多くの研究室OBが参加する。そこでは中間発表が行なわれて、現役学生たちの卒業研究にアドバイスを与えてくれるという濃密な環境が維持されてきた。さらに年1回開かれる「OB会」では、50から60人もの研究室OBたちが大挙して参加する。

そうした研究室入りをする学生たちに対して横山先生は常に次のことを求めている。

「とにもかくにも、礼を重んじ義理・人情を理解すること。ファイトがありスポーツ(とくにテニス)に興味があること。誠実であって協調性に富み忍耐力があること。整理・整頓・清潔に違和感がないこと……」

横山先生の学生諸君への要求はなおも延々続くのだが、誌面の都合もあるので今回はこのくらいにしておこう。

07年度導入のユニークな「工学部再編」と「学群入試」

先述のとおり、武蔵工業大学では工学部の学部学科再編が07年度から行なわれる。従来からの「工学部」に加えて、「知識工学部」が新設される。これに合わせて入試の出願が「学科」「学群」のいずれでもよいことになる。学群については①機械②電気・エネルギー③建築・都市④情報の4群からの選択になる予定だ。

「高校3年生で出願する段階では、大学で情報系に進みたいと漠然と考えていても、学科までカッチリとは決められないという人も多いと聞きます。そういう人はまず『学群入試』で入学して、それで1年間学んでいるうちに進むべき学科を決めればいいことになります」

システム情報工学科主任教授でもある横山先生はそう説明してくれた。なお学部学科再編と学群入試についての詳しい情報は、武蔵工業大学のWebサイトにアクセスするか(アドレスは別掲)、大学の企画広報室(電話03-3703-3111)にて確認してほしいとのこと。
さて、インタビュー取材の最後に横山先生はこんな話をしてくれた。

「わたしの研究室ではグループ研究のかたちで学生たちに積極的に参加させています。長年それを見ていますと、ペーパーテストの成績だけでは学生を評価できないことを実感します。いわゆる成績の悪いとされる子でも意外なところで才能を発揮してくれて(笑)みんな生き生きとしてやっていますからね」

学生たちを見る目が厳しくも温かいという印象が残る横山先生。さらに、こんなことを考えてもいるらしい。

「せっかく皆が生き生きとしてやっているのですから、それといっしょに実社会での仕組みを理解してもらうために実際の企業をも巻き込んで〝道場〟のようなものを作ってみたいと思っているのです」

この大学の枠をも越えたユニークな「システム情報工学道場」ができた暁には、生きた実社会のデータを活用して学生・研究者を鍛え抜きたい――そう話す意欲満々の横山先生なのであった。

こんな生徒に来てほしい

私どもが研究しているシステム情報工学を人間の身体にたとえると、工学が骨格で、情報が血肉ということになります。ただ、これが別々に存在しているだけでは意味がありません。これらをどう組み合わせて機能させるのかがマネジメントであり、それを中心に私たちは研究しているわけです。こうしたことに興味のある人でしたら、テストの成績が多少悪くてもいいから来てほしいですね。

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