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Good Professor

野村 修也

野村 修也 教授
中央大学
法科大学院

のむら・しゅうや1962年北海道生まれ。89年中央大学大学院法学研究科博士後期課程中退。89年西南学院大学法学部専任講師。92年同助教授。98年中央大学法学部教授。04年同大学法科大学院教授。04年弁護士登録。このほか金融庁をはじめ法務省・内閣府・総務省などの理事・委員、さらに法制審議会幹事・学会役員などを歴任。現在も多数の役職を兼務している。主な著作に『ケースブック会社法』(弘文堂)『損害保険論』(有斐閣)などがある(著作はいずれも共著)。

「企業不祥事」を未然に防ぐ組織論の法学的研究

夏雨けぶる中央大学多摩キャンパス全景
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夏雨けぶる中央大学多摩キャンパス全景
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中央大学法科大学院教授の野村修也先生は現役の弁護士でもある。所属する「森・濱田松本法律事務所」は200人余の弁護士を擁する日本最大級の法律事務所で、今回の取材もその豪華な会議室を拝借して行なわれた。

そんなこともあって、野村先生はそもそも同事務所の弁護士であって、中大法科大学院の開設に伴って教授に招聘されたものと取材前は勝手に思っていた。

ところが事実は逆だった。そもそもは中央大学法学部の教授。法科大学院(ロースクール)開設に伴い法曹実務を知る必要を感じ、弁護士登録をして同法律事務所に所属したのだという。まずもって本来の先生は法学者なのだ。

「いま一番の研究テーマにしているのはコンプライアンスです。〝法令遵守〟と訳されますが、企業においていかに不祥事を未然に防ぐか、その組織づくりについての研究です。企業の不祥事を最近しばしば耳にします。これまでの法律家の態度としては、まず事件・不祥事があってから被害者の側に立って損害賠償などを求めるケースが大半でした。これでは後手に回わるばかりです。企業が不祥事を起こさない(あるいは未然に防ぐにはどうしたらいいか)その方策についての法学的研究をしています」

そのコンプライアンスの研究成果は純法学の分野にとどまらず、弁護士の資格をも利用して各企業に啓発して説いて回わる日々だ。さらに野村先生は政府機関や中央省庁の外部委員・研究会メンバーなどに名を連ねており、それらはおびただしい数にのぼる。とくに関係が深いのが金融庁で、これは旧金融監督庁時代から続く関係だという。

「住宅金融専門会社(住専)の巨額負債処理に税金が投入されたり、金融機関による大蔵省(いまの財務省)役人への過剰接待などが問題になって、金融機関のコンプライアンスを大蔵省に任せておけないということで金融監督庁が発足しました。その体制づくりの外部委員にわたしも招かれて参加し、今年06年で8年目になります。その間に金融監督行政を内側からずっと見てこられたのは研究上の大きな財産になっています」

最初に外部役員として参加したとき一番若い役員が野村先生だったそうだ。いかに若いうちから将来を嘱望されていたが分かる。

このほか野村先生は「譲渡制限会社」における内部紛争の解決策、さらに「定期傭船契約」の法的構造なども研究テーマにしている。これらの研究について語る先生はやさしい語り口で実に親切な説明をしてくれる。

法律家は「社会の病気を治す医師」たれ!

東京丸の内再開発「oazo」(オアゾ)のビル群
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野村先生が所属する法律事務所の入る「丸の内北口ビル」
野村先生が所属する法律事務所の入る「丸の内北口ビル」

現在の野村先生は中央大学法科大学院に所属するが、元々は法学部の教授で、いまも学部での講義とゼミ演習を受けもつ。高校生諸君にとって大学院は少し先の話にもなるので、ここでは中央大学法学部(法律学科)のことを中心に語ってもらおう。

「法曹界で働いている実務法曹(裁判官・検事・弁護士)人口のうち約5分の1は中大卒業生で、これは確固たる事実です。中大法学部の特徴はといえば実務教育の重視、それに入学当初から目標は法曹界入りと決めている学生が多いことでしょう。そうした学生たちが目標に向かって真剣に学べるような雰囲気が学部の中にできています」

自身がOBでもある野村先生は中大法学部の特徴をそう語る。このあたりは一般にも定評のあるところだろう。法学部のゼミ演習は3・4年次の学生が対象で、野村先生のゼミでは例年15~20人ほどのゼミ生を受け入れている。その希望者はいつも倍以上にのぼるという。

「わたしのゼミは法学部のなかでも厳しいことで知られているのですがね(笑)。3年次のゼミはグループ研究で、私のほうからテーマを与え、各班でそれについて調査し、ゼミで発表して全員で質疑応答するスタイルです。4年次のゼミ生の大半はロースクールへの進学を控えていますから、その個別指導が中心になります。中大法学部には卒業論文が課せられていませんが、わたしのゼミでは論文提出を義務づけています」

卒論を文集にまとめて卒業式のときに渡すようにしているとも語る。学部学生への指導方針については次のように語る。

「法律家というのは『社会の病気を治す医師』であるという認識ですね。我々が暮らしている現代社会はいろいろな〝病気〟に満ちています。そうした病んだ社会に自らの学んでいることが役立つということを強く意識してほしい。そして身の震えるような思いで取り組んでほしいとも思っています」

弁護士実務を通したリアリティーある法律講義

野村先生は大学教授であると同時に研究者・実務家でもある。これらの立場が相互に影響し三位一体となって学生たちに伝わるような教育ができればとも。あらためて04年に弁護士登録をして日本最大級の法律事務所に所属した経緯についてはこう語る。

「弁護士登録をしてまだ日が浅いので、いまは実務について改めて学んでいる状態です。こうした大きな法律事務所ではチームを組んで仕事をしますので、なるべくいろいろなチームに参加させてもらっています。わたしが実務に参加して経験を積むことで、講義などで観念的になりがちな事柄がリアリティーをもって語れるようになるのではないかと思っています」

さらに野村先生は法科大学院のほうでも教鞭を執っている。いま大注目のロースクールについても触れてもらおう。

「やはりレベルの高い人が集まっていて〝金の卵〟を預かっている感じがしますね。それでも各院生それぞれに得手・不得手もありますから、それらを見極めて不得手の部分を補ってあげるようにしているつもりです」

「法科大学院生となると国家資格の取得が目的になりがちですが、むしろ資格を取得した後のことを見定めておくほうが大切です。法曹界に入って自分はどんな仕事をしたいのか、それを決めて学ぶことです。中大法科大学院には第一線で活躍しておられる先生方がそろっていて、それぞれが専門性の高いゼミを開いていますから、自分のテーマを早く決めて積極的に参加することですね」

法科大学院ゼミにおいて野村先生が「金融」「ビジネス」をテーマにしていることは説明するまでもなかろう。

こんな生徒に来てほしい

まず、やる気のある人ですね。目標がいろいろ変わる年ごろですから、学部学生が変わっていくのは構わないと思います。要はやる気!チャレンジ精神に満ちた人がいいですね。そうしたことが外に現われる人はもちろんですが、内に闘志を秘めているような人でもいいと思います。長年接していると、そういう人でも目を見れば分かります。

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