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Good Professor

山崎 圭一

山崎 圭一 教授
横浜国立大学
経済学部 国際経済学科

やまざき・けいいち1962年大阪生まれ。87年大阪外国語大学外国語学部英語学科卒。93年大阪市立大学大学院経営学研究科博士課程単位取得退学(地域経済学専攻)。91 年日本学術振興会特別研究員。93年横浜国立大学経済学部助教授。03年より現職。主な著作に『リオのビーチから経済学』(新日本出版社)『ラテン・アメリカは警告する』(共著・新評論)『グローバリゼーションと国際通貨』(共著・日本経済評論社)などがある。山崎先生が主宰する山崎圭一研究室のWebサイトアドレスはコチラ → http://park23.wakwak.com/~latin_america/index.html

ラテンアメリカからの「途上国経済」研究

山崎圭一研究室のある「経済学部研究棟」
山崎圭一研究室のある「経済学部研究棟」

横浜国立大学のキャンパスは横浜・保土ヶ谷の緑豊かな丘の上にある。その小高い丘を登り詰めたあたりに屹立するのが「経済学部新研究棟」。今回の一生モノの恩師として紹介する同大学経済学部国際経済学科・山崎圭一先生――その研究室はこの研究棟建物の5階にある。まずは国際経済学科の特徴からお聞きした。

「世界中の地域経済について研究している教員が多いというのが一番の特徴でしょう。教員の多くが英語を含めた2ヵ国語以上を操り、国際都市ヨコハマらしく国際色豊かな学科だともいえます。この学科の教科目には、○○論というような『論』の付いている科目があまりありません。これも、時流に流されず現実に根差した教育をめざしている経済学部の特徴の反映だ――そう古い先生から教わりました。」

具体的な事例を交えつつ素人にも分かりやすく話す山崎先生の専門は「途上国経済」。ずっと研究対象にしているのは、ラテンアメリカ経済とくにブラジルとペルーを中心に研究している。

「ブラジルとペルーの両国の人々が人間らしく暮らしていくためにはどうすればいいのか、とりわけ地方自治体の住宅政策や産業政策・環境政策などを中心に大都市問題も含めて研究しています」

「とくにブラジルは通貨の価値の変動が激しく、これが企業経営や市民生活を圧迫しています。また、ドルなどの国際通貨が庶民生活に与える影響の問題ですとか、日系ブラジル人の日本への出稼ぎ問題なども研究しています」

地域政策から都市問題・環境問題まで

晩秋のある日の横浜国立大学の正門
晩秋のある日の横浜国立大学の正門

一方、ペルーについては…… 「この国は、軍事政権が社会主義路線を敷いた経験もあるという日本人などから見ると不思議な国です。ペルーに限らず中南米の国々は時に左傾化することがあるんですが、ソビエト連邦崩壊後はどの国もより現実主義の路線をとっていて、それはペルーでも同じです。ここでも私の研究の中心テーマとなるのは地方自治および地域開発です」

そう熱く語る山崎先生だが、研究熱心というか好奇心旺盛というか、地域政策に限らず都市問題から環境問題、さらに最近はインドや東南アジアの国々まで研究の触手を伸ばしているほど。

山崎先生にはひとつのポリシーがあるという。それは、研究対象を選ぶきっかけはどうであれ、いったん研究を始めたら対象のなかに好きなものを見つけることだ。

「たとえば料理がおいしいとか、住んでいる人々の人柄が好きとか、気候が好きだとか――そういうものを強引でも見つけることですね。でないと日本から30時間以上もかけて、ただ研究のために通うなんてことは無理ですからね(笑)」

ちなみに山崎先生がブラジルとペルーで最も気に入っているのは、両国とも料理がうまいこと。とくにペルーの街中でたくさん見かける和食店は洒落た創作料理などもあって、その味は格別だそうだ。

『静』に飽きたらない『動』の風を

現代的建物が林立する横国大キャンパス
現代的建物が林立する横国大キャンパス

横浜国立大学経済学部のゼミ演習は2年次の後期から始まる(ただし2年次ゼミ生は自主参加扱いのため単位認定はされない)。同学部には教員1人当たり各学年7人以上のゼミ生を受け入れるという大まかな目安があり、山崎ゼミでは例年10人前後のゼミ生を受け入れている。

「ゼミ面接での選考基準としては私の場合キャラクター重視で成績は二の次・三の次ですね。なにか勉強以外の人生の目的をもっている人、ある一教科の学習に熱中して成績に極端な偏りのある人など――そういう人でも大歓迎です」

もちろん、開発途上国の経済問題に関心があって研究しようという意欲が入ゼミの基本的前提であることはいうまでもない。

実際のゼミは文献講読が中心となる。しかし、日本にある外国大使館訪問やブラジル人出稼ぎ調査などのフィールドワーク、さらに年間イベントとして山崎ゼミ自身の合宿のほか東京外国語大学や新潟大学のゼミとの合同合宿なども行なわれている。

「私としては、それぞれのゼミ生が『静』と『動』のバランスをとって育ってほしいと思ってずっと指導してきたわけです。ところが、どうも最近は静のほうが勝る人おとなしい人のほうが圧倒的に多くなってきているのが実情なんですね。これはちょっと淋しい(笑)」

今どきの学生に新たな講義手法で挑む

ヨコハマに貴重な樹影濃いキャンパス内

じつはゼミあるいは通常の講義においても、山崎先生ほど指導方法について常に考え腐心している人も少ない。

ここでは内容まで立ち入って説明できないのが残念だが、たとえば3枚複写の「ラベル」というカードを使った「参画型授業」、国際協力機構(JICA)が採用している「プロジェクト・サイクル・マネジメント」(PCM)手法、高齢者介護の手法であるレクリエーション技法の採用――等々。これらの手法を実際に講義に採用するにあたっては、それぞれの手法の発案者やプロ指導者の教えを受けてから、山崎先生は自らの指導にそれらを取り入れている。そのひたむきなまでの努力が今時いかに希少かつ貴重なものか、やがて諸君たちも大学に進んで思い知ることだろう。

「ある程度の指導効果はたしかに上がっていると思います。何かわたしが発言を求めても、ふつう学生からはほとんど発言がありません。ところが『参画型授業』などでカードに意見を書かせますと、全員がいろいろ書いてきます。学生自らの意見から講義への批判まであって、わたしには驚きとともに新しい発見でもありましたね」

学生たちへの山崎先生の指導方針について、実際に山崎研究室で大学院博士課程を履修している頼(らい)俊輔さんの話が聞けた。 「とにかく知的好奇心が旺盛でエネルギッシュな先生ですね。専門はブラジルとペルーの研究ですが、ほかにも資本主義をはじめ経営経済・歴史などいろんなことに興味をもっていらして、それが学生にはいい意味で影響を受け刺激になっています。わたし自身の学部生時代はかなり厳しくやられましたが、今となってはそれで基礎学力のようなものが身についた気がしています」

この頼さんは大学院修士課程を修了してから、外務省の「専門調査員」になって在ジャカルタの日本大使館に勤務していたという。しかし再び山崎先生のもとで深く学びたいという思いが募り、大学院博士課程入りをしたという人だ。

外務省の現場の仕事を投げうって、研究室に戻ってくる教え子の存在――「人にものを教える」側の者として、まさに教師冥利に尽きる話だろう。

こんな生徒に来てほしい

17、18歳くらいではまだ人生についてモヤモヤしている状態だろうと思います。学習科目のバランスも取れず得意・不得意が極端で悩んでいる人も多いかと思います。でも、ある意味それで構わないと思います。最終的にバランスが取れればいいわけで、17歳であまりにバランスが取れてしまっているというのは、それはそれでかえって面白くないかも(笑)。

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