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Good Professor

中島 正人

中島 正人 教授
大東文化大学
経済学部 社会経済学科

なかじま・まさと
1955年千葉県生まれ。80年早稲田大学教育学部社会科社会科学専修卒。88年同大学院経済学研究科博士後期課程満期退学。88年玉川大学文学部専任講師。92年大東文化大学経済学部経済学科専任講師。93年同助教授。00年同教授。01年学部改組により現職。主な著作に『取引費用経済学』(訳書)『経済政策の形成過程』(共著・ともに文眞堂)『文明史の経済学』(訳書・春秋社)などがある
ちなみに「中島正人ゼミホームページ」のアドレスはコチラ↓
http://www.daito.ac.jp/%7Enakajima/

公共部門における経済学的研究

中島研究室のある大東文化大2号館
中島研究室のある大東文化大2号館
初春の大東大板橋キャンパス正門
初春の大東大板橋キャンパス正門

モダンな建物群が整然と並ぶ大東文化大学の板橋キャンパス――。いかにも気持ちの晴れ晴れする「都市型」キャンパスのTOKYO的典型ともいえよう。その2号館建物に研究室を構える経済学部社会経済学科の中島正人教授が今週のグッドプロフェッサー。大東文化大学経済学部は、2001年それまでの経済学科の単科から現代経済学科と社会経済学科の2学科制に改組した。その改組の中心ともなったのが中島先生その人だ。

「経済学にはA・スミス(Smith,A)以来の長い学問的歴史があります。しかしその一方で近年は自然科学的な性格も強めています。その双方のすべてを学ぶことは意味のあることですが、学ぶ側からすると消化不良を起こしかねない膨大な量になってしまうのも実情でしょう。そこで、経済学が長年にわたって培ってきた経済理論を主に学ぶ『現代経済学科』と、必ずしも理論に還元されない社会経済現象について主に研究する『社会経済学科』というように分けたわけです」

ただし学科に分かれたといっても同じ経済学について学ぶわけで、共通して履修する科目や相互どちらの学科のゼミを取ってもよいなど両学部の垣根は低くしてあるという。

中島先生の専門は「経済政策」で、ここのところ主要な研究テーマとしているのは「公共部門の経済分析」。一体どんな研究内容なのか分かりやすく説明してもらおう。

「ソ連型社会主義体制崩壊後の現代社会の経済システムを動かしているのは『市場』という〝民間システム〟です。その一方には『政府』という〝公的システム〟もあって、この官民の両者によって成り立っています。この2つを同じ経済学的手法で分析し互いのメリット・デメリットを明らかにしていく、そして各々の役割分担について研究する学問分野ということになります」

このうち中島先生が今とくに注目し研究しているのが、市場と政府というシステム・制度の違いがパフォーマンス(結果)にどのように影響してくるのかの研究だという。なかなかに難解である。そこで先生はこんな例を挙げてくれた。

「たとえば刑務所ですが、これについては一から十まで国家が管理運営するのが当然という考え方が一般的でした。しかし刑務所の運営を民間(市場)に委託することも可能なわけです。アメリカなどではすでに何年も前から民間への委託運営がなされています。じつは日本でも一部で委託が始まっているんですよ」

このほか軍隊や警察、あるいは外務省(外交官)の仕事の一部……等々。これらも民間への委託が可能なのか、不可能ならそれはなぜか? こうした問題の原理的な問い直しについて研究しているという。

中島先生はとつとつとした話し方ながら相手が理解するまでいろいろな例を挙げながら繰り返し説いてくれる。非常にまじめで優しい人柄が伝わってくる。

新「ニッポン経済システム」は可能なのか

整然とした雰囲気の大東大キャンパス
整然とした雰囲気の大東大キャンパス
大東文化大学の主搭と校名ロゴ
大東文化大学の主搭と校名ロゴ

大東文化大学経済学部の専門ゼミ演習は、2~3年次の学生が対象で、4年次学生は卒業研究に集中することになる。07年度の中島ゼミには、2年次11人・3年次7人・4年次9人のゼミ生が参加している。

少人数制ゼミを標榜する大東大経済学部にあって、これだけのゼミ生を集めてしまう中島先生の人気ぶりがほの見える。そんな中島ゼミの一貫した研究テーマは「日本型経済システムの研究」だ。

「経済システムの仕組みについては、国によって違い、その仕組みが違うとパフォーマンスも違ってきます。各々どういうメリット・デメリットをもつのか、それを主にアメリカと日本との比較で検討しています」

「また、戦後ニッポン社会を支えてきた独特な経済システムが世紀をまたいで急速に崩れつつあります。それらが完全に崩壊して新しいシステムが構築され得るのか、あるいはそれほど大きな変化はないまま進むのか等についても研究・討論しています」

まさに卒業後に就職し社会に出て行こうとしているゼミ生にとっても切実な問題だけに、ゼミ内での議論にも熱がこもるらしい。2・3年次のゼミ生には各年度末にこの問題をテーマにした論文の提出が義務づけられており、ゼミ内の討論・議論が各論文内容に反映していく。

大東大経済学部では毎年12月に各ゼミ対抗の研究発表会が行なわれ、ここのところ中島ゼミは両部門に毎年参加してきた。口頭発表とポスター発表の2部門に分かれて各ゼミ代表が優劣を競う。06年度は「道州制問題」を取り上げたが、残念ながら受賞には至らなかったという。この発表研究は3年次のゼミ生が中心になり、4月の年度始めから準備に入る。

経済学=実学=という誤解されたイメージ

「そんな学生たちへの指導方針について中島先生は次のように語る。

「経済学部といいますと実学のイメージが強いのでしょうか、ここで学んでいると社会に出てから役立つことを教えてもらえると考えている人がいるようです。しかし、そういう都合の良いものはまず教えてもらえないと思った方がいい(笑)」

「では経済学部で何を学ぶのかといいますと、ひとつの問題についてじっくり考え、それを他者に向かって発信する能力を身に付けるということです」

ゼミ指導においても、どうしたら自分でものを考え人に伝えられるのか、そのプロセスを考えることに重点を置いていると強調する中島先生。最後に、そもそも経済学を学ぶことの意義についてこう語ってくれた。

「経済学は、人文・社会科学の学問のなかでは非常に論理的な性格の強い学問分野です。ですから経済学を学ぶということは、とりわけ論理的・実証的に考える力を付けるということになります。いまの若者には『資格指向』の人間が多いようで、すぐに役立つ知識を求めがちですね。先の見えにくい時代だからこそ自分でものを考える力を付けることが大切になってきます。そのためには経済学を学ぶのがうってつけです」

「わたしが学部で受けもっている講義は『公共経済学』と『制度の経済学』の2つですが、ともにとりわけ変わった考え方をする経済学なんです。これを学んでも社会に出てからあまり役立つとは思えませんね(笑)」

世の中にはこのような変わった思考方法もあること、つまり世の中にはいろいろなものの見方や考え方のあることを学んでほしいとも。最高学府たる大学で学ぶことの本質とは何か、それが見えてくる話である。

こんな生徒に来てほしい

大学に進学するにあたって特に目的も見つからないからといって、「とりあえず無難な経済学部にでも入っておこう」といった安直な考え方で経済学部に来るのだけは止めてほしい。そういう考え方で入学すると、ほぼ間違いなく失望することになります。経済あるいは社会の仕組みについて探求しようという強い気持ちをもった人に来てほしいですね

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