- 宮内 新 教授
- 東京都市大学
知識工学部 情報科学科 知識工学部 学部長
1955年東京生まれ。’82年慶應義塾大学大学院工学研究科電気工学専攻博士課程修了(工学博士)。’82年相模工業大学(現・湘南工科大学)情報工学科専任講師。同助教授をへて、’90年武蔵工業大学(現・東京都市大学)工学部電子通信工学科。助教授をへて教授。’97年同電子情報工学科(新設)に移籍 。’07年同知識工学部が開設され学部長就任。同学部情報科学科教授。この間’94年米テキサス大学客員研究員。主な著作に『パソコン画像処理』(共著・啓学出版)がある。
宮内先生が主宰する「コンピュータシステム研究室(Computer Systems Lab)」のURLアドレスはコチラ→ http://www.ic.cs.tcu.ac.jp
最先端のコンピュータ・アーキテクチャ研究

- 知識工学部長室のある都市大1号館
いよいよ今年4月、伝統ある理工系私大の雄・武蔵工業大学は「東京都市大学」へと校名を変更し、総合大学として新たな旅立ちをする。これに伴って学科新設や学科名変更など、学科構成の大改編もなされる。
今週の一生モノの恩師プロフェッサー・宮内新先生が学部長を務める「知識工学部」においても、「自然科学科」が新設される。そして従来の「応用情報工学科」が「経営システム工学科」へと名称変更される。このあたりの事情から宮内先生に話を伺った。
「私どもの知識工学部は、2年前に工学部から独立した新しい学部でして、情報系・経営工学系を中心に教育・研究してきました。工学部における主要なイメージは、機械などの実体的な『物』作りということになります。それに対して我々、知識工学部では、コンピューター・プログラムや経営会計上の分析技術など、物理的な実体を伴わないソフトな『モノ』創りの研究が中心となります。つまり知識工学部の理念は『知の創造』なのです」
「今年度から新設される『自然科学科』はいわゆる理学系の学科です。校名が改称され、文系学部も新設されて本学は総合大学になったわけですが、これまで工学系ばかりで理学系の学科がありませんでした。ここでは生物学・地学などの分野を中心にフィールドワークを重視した調査研究を進め、その成果を広く社会に還元していくことを目指しています」
一方の「応用情報工学科」から「経営システム工学科」への名称変更については、教育・研究内容をより明確化することを目的とした変更ということだ。知識工学部全体では、このほか旧来どおり「情報ネットワーク学科」と「情報科学科」がある。学部長としてではなく、教授としての宮内先生は後者で教鞭を執ることになる。
「情報科学科は、いわゆるICT(Information and Communication Technology)、つまり情報と通信の技術のうち、IT(情報技術)について研究している学科です。たとえば新しいコンピュータシステムをつくる時に、どんな仕組みがいいのかなど、 そうした諸々について考えていきます。ちなみにCT(通信技術)は情報ネットワーク工学科で研究しています」
プロセッサー開発・3次元画像処理等その全てが世界初

- 都市大正門

- 世田谷キャンパス全景
学部長も務める宮内先生ご自身の専門分野は「コンピュータ・アーキテクチャ」。コンピュータやソフトウエアなどのシステムづくりについて考える研究分野ということになる。
「コンピュータなどというと、現役高校生諸君にはパソコンや大型コンピュータを連想されがちになると思います。しかし、あれらは計算機全体の分野から見るとごく限られた一部でしかなく、その大半はさまざまな機械などに組み込まれて使用されています。具体的にはエアコンやゲーム機、携帯電話などにも組み込まれ、それぞれの機能目的に合わせてプログラムされた内蔵プロセッサーによって作動しています」
宮内先生の第一の研究分野は、そうしたプロセッサーのシステム開発だ。とくに最近は、画像データを圧縮処理したものを、圧縮したまま取り出して画像処理するシステムの開発に力を入れてきた。これなどは監視カメラなどでの長時間収録と、画像再生チェック等において大いに威力が発揮されると期待されている。すでに研究室レベルでの実験には成功しているそうだ。
「もうひとつのテーマは、コンピュータに効率よく学習させるにはどうしたら良いか、という研究です。たとえば大地震・大災害などで携帯電話の基地局が破壊されて動作不能に陥ったときに、それぞれの携帯電話間でネットワークを組んで基地局の機能を一部代替させることも可能となり得ます。そうしたネットワークの組み方をコンピュータに学習させるのです」
これらは、膨大な演算を高速処理するコンピュータの開発から発想を180度転換させて、現存のコンピュータを複数で並列処理させ、学習を分担して高機能化しようという新しい試みともなる。
このほか人工知能ロボットや、エレベーター制御などの最先端の開発研究をも手がける。さきの画像データ処理の研究を含め、いずれも世界中で熾烈な開発競争が繰り広げられている分野であることは言うまでもない。
多種多様なゼミが研究室内に用意されている理由とは?

- 3号館「五島記念館」の内部建築

- 建学の精神「公正・自由・自治」のプレート
東京都市大学知識工学部の学部生は、3年次後期から各教員の研究室に配属になる。
「3年次後期に研究室配属になった学生は、まず週1回のゼミに参加してもらいます。そして専門書の講読や、先輩の卒業研究論文や修士論文にあたりながら自分の卒業研究のテーマを絞り込んでいきます。卒研のテーマについては、学生のほうから何を研究したいのか申告してもらうようにしています」
ゼミの運営にあたっては、学生側の自主性を尊重するようにしているという。研究に向かう意欲や研究の結果に大きな差が生じることを実感したからだとも語る。
ところで宮内研究室では、3年次学生を対象にしたゼミのほかに①4年次学生や大学院生をそれぞれ対象にしたゼミ②大学院生から3年次学生までの全員参加のゼミ③類似した研究テーマのメンバーで自主的に開くゼミ――といった実に多くのゼミが用意されている。
「いろいろなゼミを頻繁に開くことによって、研究室全員が切磋琢磨して研究レベルを上げてほしいわけです。ゼミという公開の場があると、先輩は後輩を前にして恥をかきたくないでしょうし、互いに真剣に研究に向かって勉強して来ることにもなりますからね」
そうした学生指導の方針については次のようにも語る。
「まずは学生を信じることですね。学生たちを信じてあげることでその自主性を引き出して、その後は自らどんどん伸びていってもらう。そのためにも工学のもつ面白さを伝えて、彼らの関心を惹くテーマをいっしょに考えるようにしています。学生たちが卒業していくとき、すべてをやり切ったというよりも、何かやり残したような感じが残るくらいで成功だと思っています」
インタビューの最後に、情報科学分野における研究開発の醍醐味についてお聞きすると、即座にこう話してくれた。
「とにかく『モノ』が完成したときの喜びが何ものにも代えがたいですね。ぜひ若い人たちにも味わってほしいと思います」
こんな生徒に来てほしい
本学の建学の精神は「公正・自由・自治」です。ですから自らの力で新しいものに挑戦する意欲にあふれている人に来てほしいですね。高校までの学習というのは、すべての解答が教える側の手元に用意されているような、既知のレベルの体系にすぎません。大学での研究は、私たち教員サイドもどういう結果になるか分からないテーマに挑むからこそ、新しい価値が生まれてくるのです。そういう人類未知のものに立ち向かっていく強い気持ちをもって、入学して来てほしいですね。










