関西学院大学の志望理由書および自己推薦書、事業計画書3
F)今後の意欲
商……「事業経営を志向する者(事業継承候補者、起業志向者など)」
人間福祉……「創造力評価」
人間福祉学部は「よりよい社会の提唱に関わる起業プランやプロジェクト案を持つ」のが条件となる。
商学部のこのパターンで出願するには、通常の志望理由書とは別に「事業計画書」をA4判およそ2枚を用いて作成しなければならない。最初に「事業継承」か「起業」かを選び
・事業継承の場合……事業の背景と将来展望
・起業の場合……起業したい理由とビジネスプラン
を最低限交えつつ、関西学院大学商学部で学ぶ意図と学習計画を仕上げる。共通の志望理由書の題意と大きく重なるのが大変に面倒だ。
したがって「事業計画書」では言葉通りに「事業計画」を具体的に表して、商学部を必然とする理由がコンテクスト(背景)として浮かび上がるような書き方がよかろう。
「事業継承」の場合は、親族などから「事業」を「継承」できる可能性がないと題意を外すのが明らかなので、最初にそこをクリアにする。といって漫然と「親の後を継ぎたいから」とか「そういわれているから」ではまずい。願書のQ&Aには「ビジネスへの関心度が高い者が望ましい」とある。「世襲します」ではその正反対(関心度が低い)だ。ゆえに後継ぎであるという事実はあるにせよ(そもそもそれがあっての出願条件である)、自分の代になれば何をどう変え、あるいは発展させて「将来展望」を開くかとの具体的な計画が必要となる。当然ながら継承する事業を取り巻く環境や、今後の見通しを個別企業・団体・法人のレベルから世界の大きな流れに至るまで、一応の把握に務めるべきだ。オーナーとして事業を継続する場合、社会人としてのスタートをどう切るかといった当たりも注目されよう。必ず卒業したら親族の会社へ就職しなければならないとは限らないので。すると社会人スキルとして身につける点と、大学での学びがどのような連続性を持つかも大切である。
「起業」の場合は多くのケースで「事業継承」と逆に、何らかを引き継ぐという前提はなかろう。M&Aを主目的にする人は多少違ってくるものの、親族などからの継承と買収はまるで別物と考えていい。「理由」は事業継承と同じく、自身の意欲や経済・経営の見通しなどが語られよう。意外と難しいのは「ビジネスプラン」である。例えば株式会社を設立して起業するとしたら何が必要かとか、そもそも何で株式会社にする理由があるのかなどから入っていかなければならない。初期投資の大きさ、融資実行の可能性、ランニングコスト、採用、減価償却など考えるべき要素は多数ある。それらをズバッと学べそうなのは会計コースであろう。後はビジネスの内容によってファイナンスコース、ビジネス情報コース、国際ビジネスコースなどを選択し得る。実際に起業した経験者に前もって話を聞いておくとイメージがかなり明確になりそうである。
人間福祉の「創造力評価」パターンは、「起業プランやプロジェクト案を持つ」との主旨から、社会起業学科を志望する者が多かろう(必ずそうしなければならないわけではない)。前記商学部の「起業」と似ている部分もあるが、願書の指摘によると「ベンチャービジネスを興す起業というよりも」と別に重点を置いている。例としてグラミン銀行が挙げられている。すでにある「銀行」というビジネスモデルに「新しい意味を与え、発想を転換して」「現代社会にあった新しい社会のあり方」などを提案するというものである。
この学科を選択した場合、学科独自の自己推薦書の第2項目が
志望学科の教育課程のどの点に関心があり、それを学ぶことの意義をどう考え、あなたの将来にどのように活かしていきたいかを説明してください
となる。人間科学科の題意(前回の最後で紹介)と異なるので要注意。難しいのは、第1項目は変わらないという点。ここでは「実績等を証明するものを必ず提出」が義務づけられている何かを書かなければならない。つまり「創造力評価」パターンであったにしても、「証明」可能な実績は何か必要なのだ。
ここまで見てきたのでわかるように、関西学院大学のAO入試は相当難解である。さまざまなアプローチができる半面で、その条件を満たすのに必要なのかという証明書類が義務づけられるなど、多少の矛盾をはらんでいると受験生側からは感じるところもある。それでも前向きにとらえなければ話は進まない。条件を満たしている以上、出願はできるはずなので、ここでの「実績」は「めざましい」でなくてもいいはずだ。「起業プランやプロジェクト案」は2項目で展開するとして、1項目も
・学んできた
・体験してきた
・体得してきた
というレベルで、「起業プランやプロジェクト案」と何も重ならないというのもまた考えにくい。「現代社会にあった新しい社会のあり方」を学んだ、体験した、体験したなかから発見した、部活動や生徒会活動といったところから体得したというならば、1つや2つはあるだろうし、証明も学外活動を除けば学校がおおよそしてくれるはずである。









