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AO・推薦入試対策 志望理由書編 【早稲田塾】

北海道大学水産学部のAO入試1

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趣旨・目的から求める学生像までが明快で、志望者に課す書類も「どんな人材に来てもらいたいか」がヒシヒシと伝わる良心的なAO入試を行っている。募集人数は最大20人で2010年度の倍率は2倍。評定平均の条件はなく、「生物Ⅰ・Ⅱ」「化学Ⅰ・Ⅱ」「物理Ⅰ・Ⅱ」の3つから2つを履修していること、という履修条件がある。

「趣旨・目的」をここまでハッキリと提示する大学は珍しいというほど明確だ。少々長いが4分割して引用しよう。

①水産学部は亜寒帯水圏を中心としたモニタリングにより水圏環境と水圏資源に関する知識を蓄積し、様々な問題を解決し、人類の将来に貢献するために日夜努力をつづけています。

ここまでは、AOに限らず水産学部が何を目指しているかが書いてある。「亜寒帯水圏を中心とした」という点を具体的に打ち出しているのが特長。

②水圏に関する様々な問題をカバーしている水産学部は、海洋・水産の分野で日本や世界をリードすることを目指して「水圏に強い関心を持ち、深く探求したい人材」を求めています

ここで同学部は「日本や世界をリード」できる「人材」がほしいとわかる。

③しかし、一般入試では水圏にどの程度強い関心があるかを判断することは困難です

ここまであけすけに一般入試の限界を告白する大学はめったにない。

④AO入試によって、水圏に強い関心を持ち、将来、日本や世界をリードして人類・社会に貢献したいという人材を意欲・思考力・学力から総合的に判断します

こうした趣旨に基づき、書類も、多様な能力を多角的に見ようとの努力が払われている。自書する「自己推薦書」へ相当する項目は6つ。加えて課題リポート(形式上は自己推薦書の1項目)と活動記録報告書がある。6つの「自己推薦書」を順に説明する。

①あなたの自己アピールを箇条書きで書いてください(5つ以内)

それぞれ1行ずつ。たいていの志願者は5つ全部書く傾向にある。短いからといって「何があっても頑張り通す粘り強さ」といった、いかようにも解釈できる文章は書かないように。「書き手の知っていることを読み手は知らない」に陥らないように工夫すること。

②あなたが、これまでに興味を持って取り組んだ学校行事や社会活動、文化・芸術活動などの体験を具体的に書いてください

7行。別途に「諸活動の記録」(活動記録報告書に相当)で「学校その他の団体における活動」「個人として参加した各種競技、コンクール、展覧会、懸賞論文等」「ボランティア活動」「資格、検定、段位等の取得」「その他あなたが知って欲しい活動とその成果」を詳細に書くので、この欄ではそのうち最も力を入れた活動を1つ、無理しても2つ程度を選抜して、自己評価も含めた内容を仕上げたい。

③最近の社会事象で、あなたが特に関心を抱いたことについて、その理由とあなたの考えを書いてください

6行。ここで「水圏」に関わる社会事象を選択すべきかどうかを悩む人がいる。確かに趣旨を読む限りは、その方がいいとの助言の方が適切なのかもしれない。しかし無理する必要もなかろう。趣旨では同時に「様々な問題を解決し、人類の将来に貢献する」もある。水圏からみえる社会事象は多岐に渡る。それは取りも直さず一見「水圏」と関わらない事象もつながっている可能性もある。「人類・社会に貢献したい」者は社会事象万般において注意深くあるべきだ。その意味で「水圏」にどうしてもこだわらなければならない項目とまではえいない。

④卒業後に希望する進路や将来の構想について書いてください

4行。「進路や将来の構想」は何も具体的な職業でなくてもいい(もちろんそれでもいい)。大学が求める「日本や世界をリード」する大志が表明できればよかろう。

⑤北海道大学水産学部の次の目標と照らして、あなたが本学部を志願する理由をあなたの個性が分かるように1000字程度に書いてください。なお志望理由に応じてひとつ又は複数の目標を参照して書いてください

ここがいわゆる志望理由書にあたる。ただし他大学にはみられない傾向として、「参照」すべき「ひとつ又は複数の目標を」具体的に提示している点がある。それは

1 水圏という広いフィールドでの体験による知的感動を通して、自然科学のセンスと学力を体得します
2 水圏環境や資源に関する自然現象を観察することにより、自ら学び、自ら伸びる潜在能力を開発し、向上させます
3 水圏の生き物に学び、地球全体を考えることができる豊かな人間性を身につけます


この3つを簡単に要約すれば、1は水圏そのものに対する興味と現在の学力(高校の成績など)から推し量れるきまじめさや意欲を、つまりどちらかというと「これまで」について語りやすい「目標」といえる。2はむしろ「これから」で「潜在能力」の可能性を訴える。ただし明確な「これまで」「これから」と区別できるとは言い難く、1でも「体得する」ための「これから」を、2は「潜在能力」のありかを「これまで」に求めるという方法を、それぞれ用いることが可能だ。

3の「地球全体を考えることができる豊かな人間性」は、学問の専門性や能力に止まらず「趣旨・目的」にある「人類の将来に貢献」「人類・社会に貢献したいという人材」という文言に呼応する部分といえよう。

したがって欲張って1・2・3のすべてを満たそうと考えたならば、過去の「水圏」への興味のきっかけを紹介して、それへの取り組みが合った人はそこを、直接なくても、学力などの実績などから「自然科学のセンスと学力を体得」できる者とアピールするとともに、その取り組みなり実績から「学力を体得」できる「潜在能力」も合わせて紹介する。この際に「水圏」に直接関係ない課外活動や学外活動があれば、「潜在能力を開発し、向上」させられる人物だと証明する材料としてプラスして書き込んでもいいだろう。そして、そんな自分が北海道大学水産学部でいかなる学びをするつもりかを具体的に示し(これ自体も1と2の目標になり得る)、「豊かな人間性」を将来像として「こうした者になってこのようにする」と結べばいい。

もっとも、こうした予定調和的な文章だと、肝心の「あなたの個性が分かるように」という題意を満たせなくなるかもしれない。それだと本末転倒に陥る。したがって無理に3つの目標を満たそうと欲張らずに、1つに全力を傾けても構わない。

なお、書くにあたってどの目標を満たそうとしているかは、文中でハッキリ分かるよう痕跡を残しておきたい。採点者への目配りともなるからだ。

この1000字は相当に苦労する。早めの取り組みをお勧めする。

著者紹介

【坂東太郎】

毎日新聞記者などを経て現在、早稲田塾論文科講師。 現在、日本ニュース時事能力検定協会監事を務める。 著書に『マスコミの秘密』『時事問題の裏技』『ニュースの歴史学』など。

※「志望理由書対策入門」の内容は、早稲田塾生専用サイト「マイページ」にて15回分早く連載されています

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