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大学プロデューサーズ・ノート 【早稲田塾】

教授の授業・指導 一回も受けられなかった?

マイスターです。

学生時代、建築を勉強をしていたのですが、建築学科を持つ大学がこだわるポイントの一つに、「著名な建築家が、ひとりは教授陣に名を連ねている」というものがあるように思います。

受験生獲得……というよりは、在学生のモチベーションを高める上で、有名建築家がいるかどうかというのは結構、大事。学生達も、「○○大学には、○○を設計した○○さんがいる」といったように、割と気にしています。

ただ、そんな中には稀に、「名前は連ねているけれど、実際にはほとんど大学にいない」という教授もいたりします。

建築家というのは、仕事として常に複数の案件を進めているような、実務家でもあります。まして、世の中に名前を知られるほどの有名建築家なら、現在進行中の案件もいくつかはあるでしょう。
そうなると、大学での仕事の前に、まずは建築家としての自分の仕事を片付けなければなりません。

かくして、「パンフレットではメインの位置づけにされているけれど、実際にはあんまりいない」という教授が出ることになります。
ただ、学外で活躍されている有名な方となると、どうしても大学に来る時間が限られてしまうのは、ある程度は仕方がないことだとは思います。これは、建築家に限らず、作家やデザイナー、ビジネスパーソンなど、各種の実務家に共通することでしょう。

それにこのような場合でも、(数は少ないでしょうが)授業は持つでしょうし、研究室に配属された学生には、指導をしてくれるはず。どのように活用するかは、自分次第です。

さて、今日は、ちょっと気になった報道をご紹介します。



【今日の大学関連ニュース】
■「授業せず飲み会 男性弁護士が一橋大など提訴」(MSN産経ニュース)

一橋大大学院に入学したのに指導教授の授業を1度も受けられなかったとして、東京弁護士会の佐藤文昭弁護士(34)が、同大と指導教授などを相手取り、入学金や授業料約239万円の返還などを求める訴訟を17日、東京地裁に起こした。

訴状などによると、佐藤弁護士は平成14年、同大大学院国際企業戦略研究科修士課程に入学。しかし、指導教授は14~16年度に1度も授業を開講せず、学期の始めと終わりに飲み会を開いただけだったという。

修士課程修了の論文指導も行われず、佐藤弁護士は論文を提出したが、「当研究科には評価能力がない」という理由で不合格になったという。佐藤弁護士は、「入学金や授業料は教授の指導を受けられると信じて支払ったもので、大学と指導教授の共同不法行為に基づく損害」としている。

(上記記事より)

そんなわけで、一橋大学が、上記のような理由で元・学生から訴えられました。
この元・学生さんは、弁護士です。

もし事実が上記の記事の通りなんだとしたら、さすがにどうかと思います。

マイスターは法律の専門家ではないため、この件が法律上、どのように解釈されるのかは、詳しくは分かりません。
ただ、「自分が同じ目にあったら、怒るだろうな」ということは言えますし、こういった学生募集のやり方を続けていたら、そのうち信頼されなくなるだろうなとも思います。

「この人の指導を受けられる」ということで、こうして入学してくる方がいるのですから、それなりにその分野では知名度がある教授なのではないかと想像します。もしかすると、ものすごく多忙だったのかもしれません。
でも、もしそうなんだとすれば、「教授」として世間にPRすることが間違いでしょう。いわゆる「客寄せパンダ」になってしまいます。

もっとも、他の大学でだって、もしかすると似たようなことが起きている可能性はあります。
もし指導教授および大学側が敗訴したら、他大学にも影響がある……かも知れません。


でも、これはあくまでも、「事実が上記の記事の通りだったなら」の話。
実際のところは、どうかわかりません。

「修士課程修了の論文指導も行われず」というのも、もう少し詳細に聞いてみたいところ。
というのも、

「何度も教授に掛け合ったけれど、多忙を理由にすべて断られた」

というのと、

「論文指導があるかと思って待っていたが、一度も教授から声をかけられることが無かった」

というのとでは、意味合いが少々違ってくるからです。

前者なら明らかに教授の問題ですが、後者なら、そうとは限りません。
「研究というのは自主的に進めるものなのだから、教員側からは敢えて手取り足取りの指導はしない。自分で考えて進め、必要に応じて学生側から教員にアポを取ってチェックを受けるように。」
という指導方針の教員だっています。
同じ先生についていた学生さんが他にいなかったのか、いたとしたら指導の実態はどうだったのか、知りたいところです。


もっとも個人的には、こういったことを避けるためにも、例えば必ず複数の教員が論文のチェックを行うなど、大学や教員の側に工夫があってもいいとは思います。
「当研究科には評価能力がない」なんていうことも、最後の最後で判明したのでは、学生にとっては取り返しがつきません。研究計画書を研究科に提出させ、まず教授陣全員でチェックするとか、中間報告の場を設けるとか、そういうシステムは何もなかったのでしょうか。

その辺りも、裁判の争点になったりするのかも知れません。


以上、マイスターでした。

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