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大学プロデューサーズ・ノート 【早稲田塾】

観光地への落書き報道について思うこと

マイスターです。

このニュースは……どう考えたらいいんだろう? と考え込んでしまいました。



【今日の大学関連ニュース】
■「世界遺産の大聖堂に落書き 岐阜の女子短大生、伊へ研修旅行中」(中日新聞)

世界遺産になっているイタリア・フィレンツェ市のサンタ・マリア・デル・フィオーレ大聖堂に、岐阜市立女子短期大の学生が自分の名前などを落書きしていたことが分かり、短大は24日、学生6人と引率した教員2人を厳重注意したと発表した。

フィレンツェは町全体が世界遺産で、学生は「歴史を理解していなかった」と大聖堂側に手紙で謝罪した。

短大によると、2月15日から22日の日程で生活デザイン学科の1、2年生36人が海外研修としてイタリアを訪問。18日に大聖堂を見学した際、居合わせた6人の1年生のうちの1人が6人の名前と短大の略称「岐女短」の文字を黒色の油性ペンで見晴らし台の大理石壁面に書き込んだ。残る5人は傍観していた。

3月中旬、日本人旅行者の男性から短大に連絡があり発覚。学生はいたずらを認め「気が高揚していた。とんでもないことをした」と反省。短大は大聖堂に修復費用を支払うことなどを伝えた。

大聖堂からは「謝ってくれればそれでいい」と返事があったが、今月にも別の旅行者から同じ指摘が寄せられるなど、落書きは放置されたまま。

フィレンツェは岐阜市の姉妹都市で、10月には細江茂光市長が訪問する予定。短大は「なんとか早く修復したい」と話している。

 ◇恥のかき捨て感覚

<長谷川博一・東海学院大教授(臨床心理学)の話> 若者はその場ののりだけで軽いいたずらをしてしまう傾向が強い。普段は内向的な日本人が、欧米の開放的な雰囲気で「恥のかき捨て」的な感覚になったのかもしれない。問題が大きくなってからでしか、ことの重大さが分からない子どもたちが多いのではないか。

(上記記事より)

フィレンツェはローマを代表する都市の一つで、ルネサンスの舞台としても有名です。
そしてサンタ・マリア・デル・フィオーレ大聖堂と言えば、「ドゥオモ」という呼び名でも知られる、フィレンツェの象徴。
建築的にも、芸術的にも重要な文化遺産ですし、超がつくほど有名な観光スポットでもあります。
おそらく、フィレンツェに初めてやってきた観光客のほとんどは、この大聖堂を訪れるでしょう。

さて、日本の短大生が、学校の研修旅行中にこの大聖堂を訪れ、「見晴らし台の大理石壁面」に落書きをしたと言うことで、問題になっています。
自分達のニックネームに加え、「岐女短」という校名を書いていたことから、日本人観光客が学校に通報し、この問題が発覚。

大手メディアを始め、多くのネットニュースがこの「事件」を報じるとともに、ネット上ではこの学生達に対する批判が続出。
厳しい意見が多く、本人達の行動と、さらには短大の教育姿勢などについても批判が起きています。

最終的には、短大が、↓こんな謝罪を行う事態に至りました。

■「本学海外研修(イタリア、フィレンツェ市)における、サンタ・マリア・デル・フィオーレ大聖堂での本学学生の落書きについて(PDF)」(岐阜市立女子短期大学)

24 日(火) 午後、記者発表にて、本学学生によるサンタ・マリア・デル・フィオーレ大聖堂への落書きについての報告ならびに謝罪を行いました。本学の学外研修において、このような重大な過ちが起こり、皆様にご迷惑お掛けしましたことを、心からお詫び申し上げます。 当該学生6 名は、本学生活デザイン学科、海外研修の自由行動時間に、サンタ・マリア・デル・フィオーレ大聖堂を訪れ、この愚行に及びました。 サンタ・マリア・デル・フィオーレ大聖堂へは、事件発覚後にコンタクトを取り、まず口頭にて謝罪を行った後、謝罪方法と修復したい旨を伝え、指示を仰ぎました。 それにより、謝罪は手紙でよいことや、修復については当局に一任すること、またこの件を反省し、今後に活かすようにとのお言葉を大聖堂側からいただきました。これに基づき、当該学生へは厳重注意を 与えるとともに、反省のための活動を与えることとしました。なお、修復に関しましては、今後もサンタ・マリア・デル・フィオーレ大聖堂と方法について協議を行い対応していく所存でございます。また、現地への謝罪訪問につきましても行う所存であります。 本研修は、学術交流に基づきフィレンツェの服飾学校へ訪問し、知識や技術の修得方法を学ぶ絶好の機会であり、参加学生は、文化遺産や芸術作品に触れることの意味などを考え、事前研修やレポートに取組んでいます。多くの学生にとっては実り多い研修になりましたが、残念ながら、一部の学生のために、このような事態となりまして、お騒がせいたしましたことを大変申し訳なく思っております。 今後このような愚挙を二度と繰り返さないよう教職員一同、学生の指導を徹底していきたいと考えております。

(上記記事より)

で、いつものようにこうした一連の動きを見ながら、マイスターはちょっと考えてしまったのです。

もちろん、世界的な歴史文化遺産を汚す行為は、誰であろうと許されることではありません。
軽い記念、くらいの認識だったのかも知れませんが、あまりにも軽率すぎる。
建築学科卒のマイスターとしては、他の人達の二倍、がっかりしました。
しかもこの研修旅行は、デザインを学ぶコースの学生のためのものだったとのことですから、なおさらです。「一体何を学んでいたんだ!」という声が上がるのも無理はありません。

……といったことは当然の前提とした上で。

それでもなお、メディアの報道姿勢や、ネット上での批判のされ方などに、なんだかちょっと違和感を覚えてしまう自分がいます。

冒頭の記事で、心理学の教授が

普段は内向的な日本人が、欧米の開放的な雰囲気で「恥のかき捨て」的な感覚になったのかもしれない。

……といったコメントを寄せています。
もっともな分析のように感じられますが、これはおそらく、ちょっと違うでしょう。

マイスターも学生時代、建築学科の友人達とこの大聖堂を訪れ、「見晴らし台」と呼ばれているクーポラの上に登りました。
その時、ものすごくがっかりしたので印象に残っているのですが、この場所には、世界中の言語による、すさまじい数の落書きが存在します。

↓ちょうど、その様子を写した写真がネット上にありました。


■「Image Viewer:Florence, Tuscany, Italy, Florence - Cathedral of Santa Maria del Fiore / Duomo Santa Maria del Fiore」(Zoom and Go.)


このクーポラ上部は周りを一周できるのですが、どこもかしこもこのように、落書きだらけです。
日本人による落書きは……この画像を見た限り、日本人がイタリア観光を好むことを差し引いても、若干多めかも知れません。(アルファベットが並ぶ中で、日本の文字が目立つという要因もあるかもしれませんが)
ただ、それでも、世界中の観光客が落書きをしているのは事実です。
ですから内向的な日本人がどうたらというのは、どうも個人的にはしっくりきません。


若者、特に学生が起こした問題を、学校名と共に大きく報じる最近の風潮から、「学校」バッシングの延長のような雰囲気を感じてしまうのは、マイスターだけでしょうか。

実際、この報道の後、「日本人の観光マナー」についての問題提起がなされるのかと思っていたら、そうではなく、「京都産業大の学生も落書き!」と、まるで日本の大学教育に問題があるかのような展開になってきています。

問題にすべきは「落書きの主」がどこの大学で学んでいたかということなのでしょうか。
どうもこうした報道の裏には、「落書きをするかどうかのマナーも、当然、大学で教えるべき」、「大学生が起こした問題は、全部、大学の指導が足りないせい」という、大学教育絶対主義みたいな発想があるように思います。

個人的には、こうした安易な原因押し付け合いこそが、日本の教育をおかしくしている原因の一つなんじゃないかと思ったりするのですが。

とは言え、大学生が問題を起こしているのは事実なわけで、そうなると、これからは何らかの指導を大学でも行うべきなのか? なんて、また考えてしまったりもするのです。
でも今回のケースは……うーん、どうなんでしょうね?

皆様は、こうした報道について、どう思われますか?

以上、マイスターでした。

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※ちなみに

「謝罪は手紙でよいことや、修復については当局に一任すること、またこの件を反省し、今後に活かすようにとのお言葉を大聖堂側からいただきました。」

と短大のサイトには掲載されていて、これをもって「大聖堂は寛大だ!」と賞賛する声がネットにあふれていたりもしますが、何しろ落書きだらけなので、いちいち個別に対応していられない、というあたりが実際のところでしょう。

フィレンツェは岐阜市の姉妹都市で、10月には細江茂光市長が訪問する予定。短大は「なんとか早く修復したい」と話している。

(冒頭記事より)

といった報道があり、短大側には、自校の名前を一刻も早くクーポラから消し去りたい、という事情もあると思いますが、わざわざその箇所「だけ」消しに来る人達の対応をするというのも、大聖堂側からしてみたら、またやっかいな話でしょう。

学校主催の研修旅行だったわけですし、デザインを学ぶ学生達の行為だった(=普段の教育にも責任がある、と言えなくもない?)という点から、短大が謝罪を行うのは適切な対応の範囲だと思います。
ただ、その後の一番良い対応というのは、大聖堂の修復費として一定の寄付を送るとか、そういったことかなと思ったりもします。大聖堂側にも、メンテナンスのスケジュールなどがあるでしょうし。

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