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大学プロデューサーズ・ノート 【早稲田塾】

箱根駅伝の意味(2):選手の所属学部からわかること

マイスターです。

■箱根駅伝の意味(1):投資する理由

往路の箱根駅伝。
体調は相変わらずでしたが、今日は9区の途中くらいからテレビでレースを観戦できました。

観ながら思い出したのですが、そういえば箱根駅伝のときには、「箱根駅伝のときにしか流せない」スペシャル版のCMを流す企業があるのですよね。
箱根駅伝が、注目度の高い大人気番組であることを再認識させられました。

レースの結果は、東洋大学の総合優勝。
あらためまして、おめでとうございます。

東洋大学の10区を走るアンカーの選手がゴール前に見えてきた瞬間は感動的でしたが、マイスターはその選手が「工学部」の学生だと紹介されたことに、さらに「おっ」と思いました。

というのも毎年、全参加大学を見ても、箱根駅伝を走る選手に理工系の学部の学生はほとんどいないのです。



毎年、箱根駅伝出場エントリー選手の情報はメディアによって報じられています。
以下、学連選抜を除いた22チームの学生の所属学部を、マイスターがまとめてみました。

わかりやすくするために、同じ系統と思われる学部を一緒にしています。
まとめ方には細かく見れば乱暴な部分もあるかと思いますが、ざっくりとしたイメージをつかんでいただくための便宜上の措置ということでご了承ください。

[スポーツ健康科学、スポーツ科学・医療技術・人間科・体育・(文理)] 61
[商・経営・現代ビジネス・ビジネス情報] 53
[法] 39
[経済・国際経済・政治経済・政経・国際政治経済・総合政策] 35
[文] 9
[国際食料情報] 6
[教育・(文理)] 4
[工・理工] 3
[応用生物科・生物資源科] 3
[情報コミュニケーション・社会情報] 3
[国際関係] 2
[地域環境科] 2

計 220

※「文理学部」(日本大学)の3人の選手は、学科を調べたところ体育学科と教育学科でしたので、それぞれカウントを分けました。
※「医療技術」(帝京大学)の選手も、詳細を調べてみたら「スポーツ医療学科トップアスリートコース」ということでしたので、スポーツ・体育系に分類させていただきました。
※読売新聞のエントリーデータを元にしておりますので、スタート前に選手が入れ替わったケースは反映されていない可能性があります。ご了承ください。


「箱根駅伝:選手名簿」(読売オンライン)記事より)

いかがでしょうか。

やっぱりスポーツや体育を学んでいる学生は少なくありません。
高校までに選手として競技に打ち込んできた方も多いでしょうし、そういった方がこうした学部で学びながら競技を継続するというのは、意味のあることでしょう。
選手として活躍するにも、あるいはその後、指導者や教育者、トレーナー、研究者などとして活躍するにも、きっと有意義な4年間だと思います。

ちなみにこの61名の内訳を見ると、以下のような感じです。

[順天堂大学(スポーツ健康科学部)] 10
[東海大学(体育)] 10
[日本体育大学(体育)] 10
[国士舘大学(体育)] 9
[大東文化大学(スポーツ・健康科)] 7
[早稲田大学(スポーツ科・人間科)] 6
[神奈川大学(人間科)] 6
[日本大学(文理)] 2
[帝京大学(医療技術)] 1

計 61

「箱根駅伝:選手名簿」(読売オンライン)記事より)

22大学のうち、スポーツ・体育系の学部があるのは9チームです。
ここ数年で作られた学部も多いので、「え、この大学に体育系の学部なんてあったっけ?」と思う方もおられるかも知れませんね。

見てみると、日本大学と帝京大学を除く7チームでは、選手の過半数がこうしたスポーツ・体育系学部の学生で占められていることがわかります。
順天堂大学、東海大学、日本体育大学の3校に至っては、全員がこうした学部の学生です。

逆に言うと、残り13校にはスポーツ系学部はありません。
(スポーツ系の学部なんて、そうそうどの大学にもあるわけではありませんからね)
61人という人数は、220人の割合で見ると、27.7%。
残りの159人は別の専攻で学ばれている学生です。

で、

[商・経営・現代ビジネス・ビジネス情報] 53
[法] 39
[経済・国際経済・政治経済・政経・国際政治経済・総合政策] 35

……の学生で、127人。
全体の57.7%を占めます。
割合で見ると、社会科学系の学生が非常に多いのですね。

逆に、

[工・理工] 3
[応用生物科・生物資源科] 3
[情報コミュニケーション・社会情報] 3

……というのは、なんだか少ない感じ。
一部の大学にしかない特殊な学部はさておいても、工学部や理工学部の学生が3人というのは、全国の大学の在籍学部の状況から考えたって「あれ?」という印象です。
先頭で栄光のゴールテープを切った東洋大学のアンカー選手は、この非常に少ない理工系の学生だったわけですね。

医学部、歯学部、薬学部などに至ってはなんとゼロ。
ちなみに敢えて細かく指摘はしませんが、スポーツ系学部のない大学でも、

「この大学にはいくつも学部があるのに、どうして選手の所属は特定の学部に偏っているんだろう?」

……という、大学ごとの明らかな傾向も見られます。
(この大学には5学部あるのに選手10人がなぜか全員同じ学部とか、どう考えても不自然な例が散見されます)

こうした学部の偏りが、どうして、どういうところから発生しているのでしょうか。

○経済や法、商学部といった学部はスポーツがしやすい環境にあるので、選手が自然と多く出る
○スポーツ推薦生等、スポーツ重視の学生を、意識的に経済や法、商学部に所属させるようにしている

上記のどちらが、実態に近いのでしょう。
また、そうなってしまう理由は何でしょうか。

大学関係者の中ではあまり議論されることがないようですが、結構、考えさせられる数字なのではないかと思います。

■箱根駅伝の意味(1):投資する理由

昨日書いた内容と合わせて、個人的には、大学スポーツというものを考える上で避けて通れない様々な論点が、これらの数字の中に含まれているように思うのですが、いかがでしょうか。

以上、箱根駅伝を見る度に、そんなことを考えてしまうマイスターでした。

著者紹介

【倉部史記(マイスター)】

大学院修了後、Webプロデューサー、大学職員を経て現在、早稲田塾SOHKEN(総合研究所)・主任研究員。

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