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大学プロデューサーズ・ノート 【早稲田塾】

新司法試験 合格者の半数以上は、東京の法科大学院出身

マイスターです。

10日に、新司法試験の合格発表が行われました。
例年通り、試験結果は↓法務省のWebサイトで公開されており、法科大学院別の受験者数・合格者数もダウンロード可能です。

■平成21年新司法試験の結果について

今年は、どのような結果となったのでしょうか。

■「新司法試験合格者、初の前年割れ 2043人、3千人達成困難に」(徳島新聞Web)

法務省は10日、法科大学院修了者を対象とする2009年新司法試験の合格者を発表した。昨年より22人少ない2043人で、目安とされた「2500〜2900人」を大きく割り込んだ。合格者数が前年を下回ったのは4回目の今年が初めて。合格率も過去最低を更新し、昨年より5ポイント低い28%となった。

10年ごろに年間合格者を3千人にまで増やすという政府計画の実現は極めて難しい状況になった。法務省人事課は「合否の判定基準は変わっていない。(法曹となる)能力のある人が2043人にとどまった」としている。

(上記記事より)

今回の受験者は、昨年と比べて1131人多い7392人。
しかし合格者および合格率は、法学既修者コース(2年制)、未修者コース(3年制)ともに減少しています。

政府は2010年ごろまでに年間の司法試験の合格者数を3000人にする目標を掲げている。同省は合格者数を段階的に増やすため、毎年の想定合格者数も公表しているが、昨年は初めて想定(2100~2500人)を下回り、今年も想定の2500~2900人を大幅に割り込んだ。

「新司法試験、合格者減る」(読売オンライン)記事より)

当初の「2010年度までに」という政府の計画は、実現が難しくなってきました。

この状況に対し法務大臣は、

森英介法相は11日の閣議後会見で、10日に発表された今年の新司法試験結果について、「合格者が昨年より下回り、合格率が極めて低い法科大学院があることは事実。法曹に必要な能力、学識を備えた修了生を養成するという目的を十全に果たしていない。改善に一層取り組んでいただきたい」と述べた。

また、合格者数が法務省の示した目安を大幅に下回り、平成22年ごろに合格者数を3千人とした政府目標の実現が厳しくなったことについて「目標をこの時点で変更する必要性は感じていない。目標達成が容易でないことは明らかだが、引き続き、それに近づく努力をすることが妥当だ」とも話した。

「『合格率低い』 法科大学院に法相苦言」(MSN産経ニュース)記事より)

……とのこと。

なお新司法試験は、法科大学院修了後、5年間で3回しか受験できません。
今回不合格となり、受験資格を使い切ってしまったのは、既修者コース246人、未修者コース247人。
この中には、当初、政府が打ち出していた「合格率7割程度」という構想を信じ、職を辞して法科大学院に進学した社会人の方も少なくないでしょう。

「新司法試験合格率「3割割れ」 受験生「国家的詐欺」と悲鳴」(J-CASTニュース)

↑こんな記事も見かけました。

なおそのあたりについては、ここ数年、毎年のように同じようなことが指摘されています。
↓これらの記事にもまとめてありますので、よろしければご覧ください。

(過去の関連記事)
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■微妙なパブリックコメント
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毎年、法務省が法科大学院別の合格者数を公表していることもあり、新司法試験の合格率が高い法科大学院に人気が殺到し、合格率が低い大学院は学生を集められなくなるという傾向が、年々強まっている様子。

今回、興味深かったのは、↓この記事です。

合格者数が最も多かった法科大学院は東大(216人)で、中央大(162人)、慶応大(147人)が続いた。全74校のうち、50人以上の合格者を出した11校(計1221人)で全合格者の6割を占めた。一方、合格者が5人以下の法科大学院も24校あった。

「新司法試験、合格者減る」(読売オンライン)記事より。強調部分はマイスターによる)

大変な偏りぶりですね。
ちなみにこの11校というのは、↓以下の通り。

北海道大学
慶應義塾大学
早稲田大学

東京大学
一橋大学

中央大学
明治大学

大阪大学
神戸大学
京都大学

立命館大学

国立、私立で色分けしてみました。
それぞれ健闘しているようですね。

ところで、これらの大学院の所在地はいかがでしょうか。
東京と近畿ばかりだなぁ……と思いませんか。

気になったので、試しに今回の司法試験合格者を、法科大学院の所在する地方ごとにカウントしてみました。

houka21.GIF

北海道 70人
東北 34人
関東 1166人 (うち東京 1079人)
中部 140人
近畿 510人
四国 3人
九州 79人
計 2043人

現在、日本全国に法科大学院は74校ありますが、合格者の半分以上は、なんと東京都内の法科大学院出身。近畿地方の法科大学院が、全体の1/4です。

四国は、香川大学法科大学院の3人。
沖縄は、琉球大学法科大学院の4人だけ。この通り、大変な偏りようです。
こうした地方に住みながら法曹を目指すのは、上記のデータを見る限り、なかなか難しい様子。

東京には東大、一橋といった国立大以外にも、数多くの合格者を出す中央、慶應、早稲田、明治、上智といった私学がありますが、地方の場合、選択肢が限られてきます。

司法試験合格率の高い法科大学院に学生が集中する構図は、今後、よりいっそう強まるでしょう。
いずれ、法曹になるなら東京、大阪、京都の3都市に「留学」するのが常識、ということになるかもしれません。

住民の人口に対する法曹の数は、大都市圏と地方とでは大きく違います。「司法過疎」なんていう言葉もしばしば耳にしますね。
その意味では、本来なら全国各地で、人口比率に合わせてバランス良く法曹が育成されると理想的なのですが、実際にはなかなか難しいようです。

以上、司法試験合格発表の報道を見つつ、そんなことを考えたマイスターでした。

著者紹介

【倉部史記(マイスター)】

大学院修了後、Webプロデューサー、大学職員を経て現在、早稲田塾SOHKEN(総合研究所)・主任研究員。

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