名古屋大学
農学部

自書する書類は「志願理由書」（Ａ４判１枚のうち21行までのルーズリーフ形式）のみで、題意は「志願理由及び抱負」となっている。

名古屋大学農学部が掲げる目標は「食・環境・健康」への貢献だ。おおまかに学科へ当てはめると

生物環境科学科＝環境、資源生物科学科＝食 、応用生命科学科＝食と健康となる。

まずこのポジションで志願理由書の概要をつかみたい。生物環境科学科だとサステナビリティがかなり重要な概念となってきそうだ。応用生命科学科はいわゆるバイオテクノロジーの世界に近く、分子レベルでの研究となる。資源生物科学科がその中間。ざっくりと見なすと、生物環境科学科＝生態系から集団レベル、資源生物科学科＝主に個体レベル、応用生命科学科＝分子レベルとなる。研究のほとんどが生物学と重なり合い、その上で生物環境科学科は環境問題を、資源生物科学科と応用生命科学科は食に重点を置くといったところが農学部らしさといえよう。同大で生物学を学ぶとすると理学部生命理学科となり、分子レベルの研究で応用生命科学科とかなり重なる。反対に、それより大きな範囲で生物に取り組みたい場合は農学部という選択もあり得よう。

また「食と健康」に着目すると、生活科学の食物系を考えている志望者も一考する価値がある。

他に同大農学部の特長を列挙すると、①ゼミが非常に充実している、②大学院進学率が高い、③国際的に通用する人材も育てようとしている、④就職先に特長あり。

②の大学院進学率は75％に及び、名大内で進学するとなれば生命農学研究科となる。学部とほぼ同じアドミッションポリシーを有しており、進学を前提に考えるのが妥当だ。進学を考えているのならば、志願理由書でもその旨と理由は書き添えておきたいところである。

また③についてだが、名古屋大学と聞くと中京圏の雄というイメージがあり、事実その要素が強くある半面で「国際性」もまた農学部に限らず多くの学部が追求しているテーマだ。特にアジア地域は学部が目指す「食・環境・健康」が今後大きな課題になると想像され、そうしたフィールドで活躍できる人材育成も高らかにうたっている。学内には途上国への農業技術開発や、人材育成を目的とする農学国際教育協力研究センターもあるので、志願理由書には、内向きにでなく、今後最も発展が期待されているアジア太平洋地域に貢献できる者であるとのアピールができるのが望ましい。