みなさんこんにちは。早稲田塾青葉台校の阿部倫太朗です。 前回に引き続き、コロナ時代の大学受験の論考 第七弾を皆様にお届けします。

現役高校生の大学受験指導を15年間やってきた経験から、価値ある情報を皆さんにお届けすることで、少しでも高校生やその保護者の方の、先行きが見えない不安を解消できればと思います。

●緊急事態宣言は延長
当初、ゴールデンウィーク明けまでだった緊急事態宣言の期限を5月末まで延長することが決まった。しかし、公教育でのオンライン授業実施は様々な課題がある。国が主導して、システム開発を行う補正予算の成立や、双方向のライブ授業なら単位認定を行うなど柔軟な対応が急がれる。ただ、技術的な課題が注目されているが、そもそもオンライン授業をどのように活用するかという思想についてあまり議論されていない。

●対面授業をオンライン化すればよいのではない
対面による一斉授業を是とし、オンラインは一次的な代替手段であるという姿勢でシステム開発したり授業設計をするのは、消極的なものにしかならない。むしろ、オンラインシステムならではの特性を最大化する設計を考察すべきではないか。

●教室の役割をひっくり返す反転授業
学力の再定義として「基礎的な知識・技能」の習得に留まらず「思考力・判断力・表現力」や「主体的な学習態度」を養うことが挙げられる。そうした力を従来の学習メソッドで獲得できるのか。そこで、2000年頃から提唱されているものに、反転授業というものがある。従来の学習では、教室で教師が知識をレクチャーし、自宅で演習を行う。そこで問題になるのが、生徒の理解度に差があるとクラスが成立しない、また演習時のつまずきをフォローすることが難しい点があった。そこで、反転授業では予め収録した映像教材をもとに生徒が自習した上で、授業で演習を行うというもの。自宅学習と教室での学びを反転させているから、反転授業という。
詳しくは、サルマン・カーンの「ビデオによる教育の再発明」https://youtu.be/EN8fNb6uhns をご覧ください。

●結論ガイド役としての教師
反転授業を可能にするインフラは、優れた授業が無料で手に入るようにすることと、ガイド役としての教師（いわゆるファシリテーター）を育成することである。前者に関しては、YouTubeなどに教育的価値の高い無料コンテンツはかなりあるし、今後も爆発的に増えていくはず。また、JMOOKのような教育無料動画のポータルサイトが充実することにより解決する。どうせオンラインで授業を実施するなら、その動画をインターネットにアップして誰でも活用できるようにしてしまえばよい。齋藤孝は、著書「教育力」（2007 岩波新書　https://www.amazon.co.jp/dp/400431058X/）にて、優れた教師の資質として、「学びへの憧れを伝染する能力」を挙げていた。知識の伝授に関しては、優れた講師の映像に任せ、生徒と対面する先生は、いかに学ぶ心に火をつけられるかが重要になる。ディズニーランドで、アトラクションの始まる前に、ゲストを独自の世界観に引き込み、これから起こることへの期待とイマジネーションを高めるあのキャストのように。Withコロナ時代の教師は、学びのガイド役である。

【バックナンバー】
#1「大学情報収集術編」4月24日
https://www.wasedajuku.com/article/wasedane_aobadai/post-18740/

#2「受験校選択編」4月27日
https://www.wasedajuku.com/article/wasedane_aobadai/post-18744/

#3「AO・推薦入試実施延期編」4月30日
https://www.wasedajuku.com/article/wasedane_aobadai/post-18790/

#4「志望大学学部選び編」5月3日
https://www.wasedajuku.com/article/wasedane_aobadai/post-18960/

#5「未来の大学入試編①」5月6日
https://www.wasedajuku.com/article/wasedane_aobadai/post-18963/

#6「未来の大学入試編②」5月9日
https://www.wasedajuku.com/article/wasedane_aobadai/post-19235

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