名古屋大学
文学部

名古屋大学文学部の大きな特長は、学科こそ「人文学科」１つだが、その下にある「哲学・文明論コース」、「歴史学・文化史学コース」、「文学・言語学コース」、「環境・行動学コース」の4コース20専攻が極めて充実している点だ。選抜方法は、自書する「志望理由書」に加えて「学級担任またはこれに相当する者」による「推薦書」および調査書で、定員の倍（30人）まで絞り込む。通過した者は会場試験で小論文と面接。面接には５分間のプレゼンテーションが志望理由書に基づいて課される。よって志望理由書は単に１次選考通過に重要なだけでなく、２次のプレゼンでも決定的な役割を果たすので全力で取り組みたい。

題意は、①あなたが名古屋大学文学部で学びたい内容について述べて下さい（600字程度）、②あなたが今、関心を持っている人文学に関する本を一冊取り上げ、それについてのあなたの意見を述べてください（800字程度）の２つ。①は、現実問題として進みたいコースや専攻を定めなければ書きようがない。なのでそれはそうするとして、「コース」をどう位置づけるか難しい。

特に「文学・言語学コース」には、日本文学、日本語学、言語学、英米文学、フランス文学、ドイツ文学、英語学といった普通の大学だと独立した学科になっていてもおかしくない専攻が７つも含まれているので、そうしたコースを設けている意義を見出して共感する文章を述べるのは容易ではなかろう。そこをクリアした上で、少人数教育を求める理由や、他専攻も受講できるといった同大ならではの仕組みも魅力として織り込みたい。

②もまた専攻と直結した「本」であるべきかどうかという問題がある。無難なのはそうであろう。ただ「環境・行動学コース」の心理学のように、高校生が専門書を読んでいる可能性の低い場合などは別の選択をするのもあり得る。もっともここで何の本を取り上げようかと悩むようでは文学部生らしくないともいえる。本来この学部に進む者は、学業とは別にして高校生段階で専門書やそれに匹敵する内容の本を１冊や２冊は読んでいるはずだ。出願に当たって「さて何を読もうか」と白紙段階から当惑するようだと、そもそも文学部に向いているのかと問い直した方が良さそうだ。