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自由が丘校レポート

担任助手プレゼンツ!「研究テーマ・リサーチ方法」#5


皆さんこんばんは、担任助手の定光寧々(慶應義塾大学文学部2年)です。春期講習も終盤に差し掛かってきましたが、学びや気づきはありましたか?実は新高3生にとって、AO・推薦入試まで半年近くになってきています。

大学への志望理由の大きな要素の一つとなるのが、「研究テーマ」ですよね。「まずはリサーチすること!」と、何度も、様々な場所で言われてきました。そもそも、研究テーマとは何か、リサーチとは何か。そういった根本的な問いに苛まれている人もいるように思いますが、とはいえ、ここにおいてはたった一つの正解はないわけです。これから私がお話しすることも、「本当にそうなのかな?」と疑いながら読み進めていただけると良いのかもしれません。

ふと、皆さんには、生活している中で何か引っかかるような「フック」はありませんか?何をしていてもそのことを考えてしまう。どうしても気になってしょうがない。なんだが違和感を感じるもの。それはなんでもよくて、とにかく、意識せずとも心に留まってしまうような何かです。あまり気にしたことないなと思った人は、ぜひ自分の外側と内側の両方にちょっとだけ意識を向けてみてください。それは研究テーマだけでなく、広く、気づきや学びにも繋がってくると思います。

まず大前提に、私含め皆さんは、自身の好きなことや強く関心のあることについて、未知の部分や真理を明らかにしてゆく、いわゆる「研究」をしに大学へ行きますよね。これは大層何か新しい発明や、世紀の大発見だけを指しているわけではありません従来Aだと考えられている事柄に対して、Xの見方をしてみたり、それによって異なった原因・結果を結論づけてみたり、まだ分析されきれていないところを取り上げみたり・・・

何にせよ、Xの見方をしてみるのも、まだ曖昧になっている部分を指摘してみるのも、「A」というすでに明らかになっている現状を知らなくてはなりません。多くの人は、大学入学後、おそらく3、4年生のゼミ(研究会・研究室)で研究テーマを設定します。でもそれは、1、2年生の頃の知の集積があってやっと決定するものです。AO・推薦入試を利用する皆さんは、それを一旦飛ばしてテーマを決めようとしているので、そりゃ難しいに決まっています。だから、その分リサーチをたくさんしようと言われているんですね。

最初に、「フック」の話をしました。私にとってのそれは、「美しさ」や「魅力」でした(並列して語れることでは必ずしもなく、きわめて多義的ですが)。というのも、冗談抜きで、私は私にとって美しいものを見ると、目がハートになってしまいます。身体の底から何かがぐわっと込み上げて、苦しくなるほど心掴まれるのです。最初は、そんなことを学問できるのだろうかとどこかに押しやっていた関心でした。哲学では中心的なテーマの一つですが、当時は無知が故に勝手にそう考えていたのです。

大変抽象的な関心でしたが、それは「どんなときに」「なぜ」「何に対して」などといった問いを自分自身に投げかけ続けることで、具体的な課題を浮き彫りにしました。そして今、美学美術史学専攻で美学と美術史を学び、研究しています。

そんな自分に気付くことができたのも、ある本の、ある一文との出会いでした。

「ひとはかくて、古典的な哲学書と呼ばれるものを読みといてゆくことで、同時に世界の見かたをそのたびごとに更新し、かくてまた、世界をそのつどべつの視点から生きつづけてゆくことができる。」(熊野純彦『カント 美と倫理のはざまで』、2017、講談社)

ある物事を自分がどう捉えるか、どう考えるかは、自分のこれまでに知ったこと、経験したことによってのみ決まるのではないでしょうか。たくさんの選択肢があればあるほど、豊かに思考できるのではないでしょうか。だからこそ、「フック」を意識しながら世界を経験してゆくことが大切だと思うのです(もちろん、まっさらな状態が良い方向にはたらくこともあります)。

皆さんも、これまで馬が合わないと思っていたクラスメイトと話してみたら共通点が見つかって仲良くなったり、見た目が好みじゃないからと言って食べるのを躊躇っていたものがあったりしませんか?

話してみると、実は生涯の友人になったり、食べてみると、特別好きな食べ物になったりするかもしれません。少しの挑戦が自分にとって大きな分水嶺となること、一生では知りきれないほどの世界を少しでも更新できるかもしれないこと。そういった可能性をつねに意識したいという自戒でもあります。

研究にも、リサーチにも終わりはなくて、だからこそ自分でその有限性を設定することが必要です。皆さんが「知りたい」、「明らかにしたい」という純粋な好奇心が、世界を更新するんだろうと今から期待を寄せています。

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    投稿者:定光寧々

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