自由が丘校レポート
早稲田塾第41期生 岡本千紗子
公開日:2024年04月03日
こんにちは、早稲田塾担任助手の岡本千紗子です。
寒暖差が激しい日々に春の訪れを感じる今日この頃ですが、皆様いかがお過ごしでしょうか。
春は出会いと別れの季節、と言いますが、私もこの度、四年間通った慶應義塾大学環境情報学部を卒業すると共に、早稲田塾からも卒業する運びとなりました。
初めて塾の扉を叩いたのが高校二年生の十一月、時の流れの早さを感じます。
さて、このワセダネは、そんな私の最後の置き手紙です。
四年の間に出会った皆さんへ、そしていつかすれ違うかもしれない皆さんへ向けて、この四年間で私が感じたことを綴ってみようかなと思います。
単刀直入にいうと、大学生活を通して私が痛感したのは、自分の本当の声を聞くことの大切さと難しさ、そしてそれを表に出すことに対する壁の高さでした。
「自分のことなんて自分が一番よくわかってるよ」
そう思われる方は多いかもしれません。
でもたとえばあなたが受験や就活といった他者に評価される状況に面したら?
あなたの決断に他の大人が色々な「アドバイス」をしてくれたら?
もしかすると、「こっちの方がいいのでは?」と決断したことを迷う人も多いかもしれませんね。
2020年度に大学に入学した私たちは、入学して最初の一ヶ月間を空白のまま過ごしました。
5月に授業が始まってもオンラインで、大学生であるという自覚や、どこかに所属している感覚がないまま、なんとなく二年生に進級したことを覚えています。
そんな中、私自身も未だかつてない「虚無感」が漠然と心の中にある状態を続けてしまい、結果的に「自分が何をしたいかわからない」という状況に陥りました。
私のことを知る方の中には、当時の私の状況に対して信じられないと感じる方もいるでしょう。
岡本という人は本が好きで、文章に正直で、そしてある程度強いという印象が、私の中にも、また周りの方にも多くあったと思います。
私が苦しんだのは、その幻影とも言えるべき何かでした。
「自分の本当の声」が見えなくなっていたわけです。
この「自分の本当の声」を、今の私が完全に汲み取れている自信はまだありません。
それでもさまざまな出会いや思考を通し、自分と向き合うことに前より器用になれたかな、と思う面があります。
ここに至るまでに丸三年です。
だからこそ、完全に自分を見失う前に、自分の声を聞く努力をしてほしいと皆さんに対して思います。
大学受験をこれから迎える高校生の皆さんは、今後「大学で何をしたいか」を突き詰めて考えるシーンが出てくるでしょう。
それに対して色々な人が色々なことを言うと思います。
もちろん周りのアドバイスは善意からだと思いますので、きちんと受け止めて検討してほしいのですが、最後の決定は自分でしてほしいな、と私は思います。
だって、その受験はあなたの受験で、あなたの人生です。
責任を取るのはあなたなのだから、自分自身が本当に後悔しない選択をしてください。
わからなくなったら休んでも良いと思いますし、助けが欲しければ誰かにSOSを出してみてください。
「どうしたの?」と聞かれたら、思っていることをちょっとでも吐き出してみてください。
多分、完全に拒絶する人ばかりではないはずです。
人の心の中は、のぞこうと思ってものぞけません。
自分の声は、自分が聞いてあげるしかない。
それを聞くことも、そして他者に伝えることにも、時には恐怖を覚えるかもしれません。
それでも私は、皆さんにそれを超えてほしいな、と思います。
なぜなら、他人が助けられるのは、自分からSOSを出してくれた人だけだから。
自分を自分で苦しめる前に、きちんと自分と向き合って、そして誰かを頼ってください。
最後に。
私自身が三年である程度回復したのは、高校生の皆さんとの出会いによる面も大きいと感じます。
皆さんが「実は」を聞かせてくれたり、本気で悩んでいる姿を見たりするうちに、私の中の「自分の人生は自分のもの」という価値観を強く自覚するようになりました。
とても得難い経験だったと思います。
本当にありがとうございました。
自分の意思で将来を切り拓いた皆さんと、いつかどこかでお会いできたら嬉しいです。
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