大崎品川校レポート

大崎品川の本棚紹介 第4回~遅刻したらトイレ掃除1週間は厳しい?~

みなさんこんにちは!大崎品川校担任助手の野田虎太朗(慶應義塾大学法学部政治学科1年)です!

第4弾の今回は、日常的な出来事から「法」について考えてみましょう!


第4回 『高校生からの法学入門』 中央大学法学部編


この本は専門分野を異にする9人の中央大学法学部教授たちによって、法を広く面白く学べるよう構成されています。ぜひみなさん、この夏は気になる大学の教授の本に挑戦してみてください!



Q.「遅刻したらトイレ掃除1週間」は効果的なのか?


この問いにみなさんはどう答えますか?少し考えてみてください!







考えてみましたか?このような法と刑罰について考える際に柱となる2つの考え方を紹介します。

① 応報刑論

これは、刑罰は犯人が行ったことへの報いであるとする考え方です。「目には目を、歯には歯を」という言葉で有名なハンムラビ法典と同様ですね。この立場からすると、刑罰は犯罪と釣り合ったものでなければならない、となります。

② 目的刑論

これは、将来の犯罪を予防することが刑罰の目的である、とする考え方です。刑罰を通しての社会防衛は、犯人に刑罰を科すことを国民が認識することによって実現されるといいます。これは「一般予防」と呼ばれています。他方、犯人を教育し善良な社会人として社会復帰させることにより社会防衛を目指すことを「特別予防」と呼びます。


ここでみなさん、「遅刻したらトイレ掃除1週間」は効果的なのか?という問いにどのような答えを導きましたか?

まず、効果的であると答えた人。これは、遅刻したことの報いとしてトイレ掃除を位置づける考え方であり、応報刑論と親和性があります。また、「自分は遅刻しないようにしないと!」と警告の役割を発したと考えるのは、目的刑論のなかでも一般予防の考え方です。さらに、当人が生活態度を改めるであろうと想像してトイレ掃除に効果があったとするのは、特別予防の考え方です。他方、効果的ではないと答えた人。当人に対する人権侵害だと考えた人は、犯罪と刑罰の釣り合いを重視する応報刑論の立場です。


このように、この本を読むと、自分はどのような考え方をしたのか、どのような考え方をすればよいのか、知ることができます!ただ、それぞれの考え方には問題点があるとも指摘されています。問題点について考えたうえで、教授の考えを自身の目で確かめてみてください!


この本は面白い事例を軸に法について考える10章で構成されています。話題も多岐にわたるので、ぜひ様々な考え方を身につけていきましょう!

また、章末には各教授のおすすめ本や宿題が掲載されています!自分から本や宿題に挑戦して、大学にふさわしい人材になってしまいましょう!



ちなみに以前、高井先輩(中央大学法学部法律学科)もこの本を紹介しています!

過去の先輩のおすすめする本をご覧になりたい方はこちら


探究に少しでも不安がある人は、先輩たちのアドバイスを参考にしてみてください!  

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