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総合型・学校推薦型選抜(AO・推薦入試)情報
国公立大学の総合型選抜まとめ
はじめに
大学入試改革で「学力の3要素※をバランスよく評価する」よう打ち出された影響で、総合型選抜・学校推薦型選抜を実施する国公立大学が増加していることをご存知ですか?
※学力の3要素…「知識・技能」「思考力・判断力・表現力」「主体性・多様性・協働性」
2015年度から2024年度までで総合型選抜の実施学部数は2.0倍に。
2024年度入試では実施大学が105大学343学部にのぼり、過去最高となりました。
一般選抜だけでなく、総合型・学校推薦型選抜も視野に入れて対策することで、受験の機会は2倍となり、国公立大学に合格する可能性が広がります。
この記事では、国公立大学の受験を目指している方に向けて、総合型選抜・学校推薦型選抜の特徴や受験する際の戦略を紹介していきます!
また、私大総合型・学校推薦型選抜合格実績No.1の早稲田塾では、合格のチャンスを広げるためにするべきこと、出願までのロードマップを1日無料体験にてご紹介しています。総合型・学校推薦型選抜を活用するには、入試情報の収集がカギを握ります。是非お気軽にお申し込みください。
国公立大学の総合型選抜・学校推薦型選抜の基本的な形式
国公立大学の総合型選抜・学校推薦型選抜は、大学入学共通テスト(以下:共通テスト)を課す場合と、課さない場合の2パターンに大きく分かれます。
中には、共通テストを課すタイプと、課さないタイプの両方を実施している大学もあり、共通テストの有無で試験スケジュールが変わります。
試験(二次選考)では、私立大学と同様に面接や小論文を課す大学が多いです。
◆試験スケジュール
※「共通テストを課す」場合、二次選考が共通テストの後に行われることもあります。 各大学の募集要項から、試験日程をご確認ください。
◆成績(評定平均)はどれくらい必要?
総合型・学校推薦型選抜では、高校での成績を評価するために、評定平均や学年順位が問われるケースがあります。
大学・学部によって評定平均の有無やレベルは様々ですが、基本的には4.3前後を求めている大学が多いです。
共通テストを課すタイプの場合、その結果で学力を判断できるため、あえて成績(評定平均)を定めていないこともあります。
※評定平均…高校1年生から高校3年生までの成績の平均のこと。 履修した科目の評定の合計を、履修したすべての科目数で割ることで算出できる。
(例)
①成績の基準(評定平均)を設定しているタイプ
成績(評定平均) | |
---|---|
東京大学 学校推薦型選抜(法学部) | 高3の1学期に履修した全教科で学年順位5%以内 |
お茶の水女子大学 新フンボルト入試 | 学習成績概評A(評定平均4.3〜5.0)以上が望ましい |
横浜国立大学 学校推薦型選抜 | 経済学部(経営学科):評定平均4.3以上 |
②成績の基準(評定平均)を設定していないタイプ
成績(評定平均) | |
---|---|
北海道大学 フロンティア入試TypeⅠ(水産学部) | 共通テストで受験を要する教科・科目(数学及び理科から3科目選択、英語(リーディング))の得点の合計280点以上 |
一橋大学 学校推薦型選抜 | 共通テスト(5教科7科目)の受験が必須。提出書類・小論文・面接とともに総合判定 |
東京工業大学 総合型選抜 | 評定平均を問わない(共通テストと出願書類、筆記試験、面接の結果から総合的に合否を判定) |
横浜国立大学 総合型選抜(都市科学部都市社会共生学科) | 評定平均を問わない(共通テストと作文、面接の結果から総合的に合否を判定) |
筑波大学 AC入試 | 評定平均・共通テストの結果ともに問わない。 |
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国立文系(旧帝大・一橋・東京外大他)編
旧帝大・一橋・東京外大を中心に、国公立の総合型・学校推薦型選抜を詳しく解説します。一般選抜との併用も見据えた先輩の出願例など、特別な情報も公開します!
国立理系(旧帝大・東京科学大学)編
旧帝大や東京科学大学(旧:東工大)は、国立の中でも特に多数の総合型・学校推薦型選抜が実施されています。国立理系を総合型・学校推薦型選抜で目指したい方は必見です!
国公立大学を目指すには?
①共通テストにも対応できる学力をつける
国公立大学の総合型選抜では共通テストを課す大学が多いです。
そのため、総合型選抜に向けた提出書類、小論文、面接などの対策と、共通テスト対策を並行して行うことが重要です。
共通テストを課さない場合でも、評定平均が問われる場合が多いため、日々の積み重ねで基礎学力を上げておきましょう。
共通テスト対策をしておくことで、学力重視の一般選抜とも併願しやすくなります。
河野 清花さん
千葉大学教育学部 AO・推薦入試
千葉大学教育学部の総合型選抜(方式Ⅰ)は、センター試験(現・共通テスト)の総得点で70%(現・65%)が必要になります。私は高3の11月から対策を始め、過去問10年分を、時間を計って毎日解いていました。「東進講座(センター過去問対策講座)」のスピード再生などを用いて、時間を最大限有効活用したことで、良い結果が出せました。
②小論文対策を通して「記述力・読解力」を鍛える
総合型選抜・学校推薦型選抜では、試験(二次選考)で小論文を課されることが多いため、早めに小論文対策を始めることが重要です。
また、小論文の対策で鍛えた読解力や記述力は一般選抜の試験にも役立ちます。
例えば現代文の読解問題では、小論文を通して学んだ、課題文の読み方や題意の捉え方が活かせます。
さらに国公立大学の一般選抜では、記述式の問題が多く出題されます。 限られた字数で自らの考えを表現する力は、この記述式問題で生かされます。
□一般選抜 | |
---|---|
東京大学 全学部 一般選抜(前期日程)地理 | 設問A |
(2)d)の地球温暖化がどのように人獣共通感染症の増加に影響するか、以下の語句をすべて用いて、2行以内で説明せよ。語句は繰り返し用いてもよいが、使用した箇所には下線を引くこと。 語句:媒介生物 気象災害 |
|
横浜国立大学 教育学部 一般選抜(前期日程)小論文 | (問1) 筆者の解釈に触れつつ、「主体的・対話的で深い学び」という言葉に対するあなたの見解を200字以上400字以内で論述しなさい。 |
岡本 琳南さん
東京大学法学部 推薦入試
小論文で学んだ文章の読み取り方や書き方は、一般入試の対策にも生きると感じました。例えば、初めて東大式の問題に触れた東大模試では、現代文だけ偏差値80台!それを見て「論文をやっていたおかげだ!」と思いました。また、東大の一般選抜では、論述の社会科目が2つあります。これも題意を読み取り制限字数内で表現するという点で、小論文と共通する部分が多く、小論文対策が役に立ちました。
③研究テーマにあわせて私立大学の総合型選抜と併願
国公立大学の総合型選抜では、募集要項に「併願可能」と書かれている場合、気になる私立大学を複数併願することができます。
そのため、総合型選抜で、国公立大学と私立大学の両方を受験すれば、合格の可能性が広がります。 さらに、総合型選抜で私立大学に合格した後、年明けの一般選抜で第一志望の国公立大学に再チャレンジするという戦略も可能です。
また、併願校を決める際には、自分の学びたいことが研究できるかという視点で考えましょう。
総合型・学校推薦型選抜では「大学で何を学びたいのか」という自分の研究テーマを深く考え、志望理由書や面接でその思いを表現する必要があるからです。
複数の大学・学部に出願する場合でも、「学びたいこと」が共通していれば、研究テーマを応用して提出書類を作り、出願することができます。
代表的な国公立大学の総合型選抜
・東京大学 学校推薦型選抜
◇スケジュール
出願:10月中旬~11月上旬
一次選考(書類選考)結果発表:12月上旬
二次選考:12月上旬
共通テスト:1月中旬
合格発表:2月中旬
◇成績:経済学部・法学部のみ指定あり
◇共通テスト あり
◇試験の内容:面接・プレゼンテーション・小論文など(学科によって異なる)
◇合格アドバイス
「世界的視野をもった市民的エリート」の育成を目標としている東京大学では、高い基礎学力として高校の成績上位者であることや指定の科目での高成績を求めます。
さらに、共通テストで8割以上得点しているかも合格の目安になるため、共通テスト対策は必須です。ただし共通テストの得点目安としては、一般選抜よりも低い基準となるため、東京大学を第一志望としているならチャンスとして活用すべきです。
これらの成績に加えて、コンクールでの入賞歴や、執筆した論文の提出、社会貢献活動の実績など、志望学部に応じた卓越した能力も評価対象になります。
・東北大学 AO入試
※共通テストを課さないⅡ期と、課すⅢ期に分かれます。
◇スケジュール
AO入試Ⅱ期
出願:10月中旬
一次選考:11月上旬
一次選考結果発表:11月中旬
二次選考:11月中旬
合格発表:11月下旬
AO入試Ⅲ期
共通テスト:1月中旬
出願:1月下旬
一次選考結果発表:2月上旬
二次選考:2月中旬
合格発表:2月中旬
◇成績:Ⅱ期のみ:学習成績概評A(評定平均4.3〜5.0)以上
◇共通テスト Ⅲ期のみ:あり
◇試験の内容:筆記試験・面接など(学科によって異なる)
◇合格アドバイス
Ⅱ期
各試験の配点は学部によって異なりますが、すべての実施学部で筆記試験の比重が高くなっています。特に筆記試験の比重が高い法学部・医学部医学科などでは、その出来が合格を左右すると言っても過言ではありません。また、筆記試験の比重がそこまで高くない学部でも、その成績が二次選考まで引き継がれるため注意が必要です。二次選考の面接では、志望学部に関する知識や熱意が問われるため、関連する知識・教養はしっかり身につけておきましょう。
III期
出願書類、共通テストの成績及び面接試験の結果を総合して選考します。配点比率では圧倒的に共通テストが高い上、志願者が多い場合は共通テストで一次選考する場合もあるため、共通テスト対策が合格のカギになります。とはいえ、提出書類、面接もおろそかにはできません。それらの出来次第では、共通テストの苦手科目を挽回できる可能性も。出願は共通テスト後となりますが、焦らないように提出書類等の準備を早目に行っておきましょう。
・お茶の水女子大学 総合型選抜(新フンボルト入試)
◇スケジュール
出願:文系→9月上旬 理系→10月下旬
一次選考:文系→9月下旬 理系→書類選考
一次選考結果発表:文系→9月下旬 理系→11月中旬
二次選考:文系→10月中旬 理系→11月下旬
合格発表:文系→11月上旬 理系→12月上旬
※文系:文教育学部・生活科学部(人間生活学科、心理学科)
理系:理学部・生活科学部(食物栄養学科、人間・環境科学科)
◇成績:学習成績概評A段階(評定平均4.3〜5.0)以上が望ましい
◇共通テスト なし
◇試験の内容:
文系→プレゼミナール受講時のレポート作成、図書館での課題レポート作成、グループ討論、面接など
理系→面接(口述試験)、プレゼンテーション、実験、筆記試験など(学科によって異なる)
◇合格アドバイス
新フンボルト入試は、論理的思考力、探究力、コミュニケーション能力、独創性など、従来型のペーパーテストでは測定することのできない側面や、これまでの活動や学習の成果も含めて受験者の潜在的な力(ポテンシャル)を丁寧に見極める入試です。試験(二次選考)では、文系学科は「図書館入試」、理系学科は「実験室入試」が行われ、知識量ではなくその知識をいかに「応用」できるかが問われています。
・筑波大学 アドミッションセンター入試
◇スケジュール
出願:9月上旬
一次選考(書類選考)結果発表:10月上旬
二次選考: 10月中旬〜10月下旬
合格発表: 11月上旬
◇出願資格
評定平均:なし
英語資格:なし
◇成績:なし
◇共通テスト なし
◇試験の内容:
提出書類、面接、口述試験
◇合格アドバイス
AC入試は、「問題意識を持って、自ら学び、自ら考え、よりよく問題を解決する資質や能力」を身につけた活動的な学生を選抜する入試です。書類提出と面接・口述試験により志願する学群・学類に必要な学習適応性が評価されます。一次選考の自己推薦書は、取り組んできた学習や活動を中心に、経緯や内容、結果などを考察するとともに、大学入学後の展望といったものまで記述するのが一般的。アドミッションポリシーを徹底的に理解し、中心となるテーマを定めましょう。入試要項に「問題解決能力」を評価すると明記されているため、その点にも留意しましょう。